市民協働の勉強会「つくば市の景観をみんなで考えよう」で事例報告
会員 吉澤淳一
2006年6月4日、「つくば市の行政と市民との協働を推進する会」からの依頼があり、表記勉強会にて「我孫子の景観を育てる会」の取り組みと行政との協働について、約1時間お話をしてきました。

主催者の野口さん、矢澤さんが、このテーマにふさわしい市民活動グループをインターネットで探していて、当会のホームページに出会ったことが、依頼のきっかけとのことです。
■「つくば市の行政と市民との協働を推進する会」のお知らせへ
●第1部 つくば市の取り組み
つくば市は、本年4月、都市建設部に街並み景観推進室を設置し、3名の職員を中心にして、新たな景観行政に取組んでいる。

その取り組みの代表的なものが「つくばの景観100」である。
「つくばの景観100」はつくば市都市計画マスタープランの策定(平成17年3月)に協力した市民ワークショップ景観班のメンバーと都市整備課職員が協働でつくりあげたもの。つくば市内で良い景観と感じた300ヶ所以上から写真を厳選し、100の景観としてまとめたもので、つくば市の景観的特徴、「つくばの景観100を」作成したねらい、「つくばの景観100」選定の基準などの報告があった。

つくば市の景観を9のカテゴリー(集落 建物 街並み 山 道 田園 緑・公園 水辺 祭り)に分類して、景観写真集を作り、訪ね歩きのためのマップを作っている。

*我孫子市の景観賞の今後のあり方や、「新八景」(カテゴリー別八景)を考える際の参考になるでしょう。
詳しくは、つくば市都市建設部 ■街並み景観推進室 を参照ください。
●第2部 先進事例報告「我孫子の景観を育てる会」の取り組み
当会の概要を説明し、当会の活動を5つの切り口で説明した。
(説明はパワーポイントで、ビジュアルを中心にして行った)
1景観を知る  庭園公開 庭園コンサート 各種マップ発行
          部会活動
2景観を学ぶ    景観散歩 景観・緑三法 景観計画
3景観を守り育てる 三樹会 旧村川別荘
4景観行政との協働 景観賞 景観シンポジウム 景観情報流通
          催事
5広報・啓蒙    「景観あびこ」 ホームページ メディアでの展開
上記の各具体例の中で、当会と行政との協働についても触れておいた。
●第3部  つくば市の都市問題
(1)つくば市の都市部には、これまで公務員住宅が多く存在していた。4階建ての集合住宅、ゆったりとした緑地と駐車場で構成されている空間は、これまで、つくば市の都市景観を潤いのあるものにしてきた。

昨今、つくば市においても公務員の数が減少し、財政上のこともあることから、これらの公務員住宅敷地を民間に払い下げるケースが増えてきた。そうするとどうなるか。
豊富で樹齢の高い樹木は根こそぎ無くなり、緑地が無くなっていく。法律ぎりぎりの中高層マンションが林立し、景観を含めたあらゆる環境が劣悪化してしまう。たまらないのは、隣接する戸建ての住民である。市内2件の住民運動の報告が続いた。

我孫子市では、相続税に起因する住環境の悪化が問題になっているが、つくば市では、公務員住宅の削減が住環境の悪化につながるという、思いもしなかった事態に驚いた。

(2)或る日突然、自分の家の前に高層マンションと立体駐車場が建つことになったら、あなたはどうしますか?
*鉄骨組みの立体駐車場は建築物ではなく工作物なので、建築基準法の適用外であることを、恥ずかしいことに初めて知った。
立ち向かう自治会、近隣住民の弱者の声を聞くとき、他人事とは思えない、この国の悲しさを感じる。
招かれてお話をしに行ったのだが、こちらの方が思いっきり勉強させていただいた。
つくば市の皆様のご健闘をお祈りします。
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