千葉県 平成23年度第1回景観セミナー報告 高野瀬 恒吉（会員）議題 「景観」とは何か、「良い景観」とはなにか
〜魅力ある"成田"をめざして〜
講演の内容
１．景観とは見ることである。人間は何を見ているのか？ 何処を見ているのか？・・・である。
眼に入って来るものを選択し、選択したものを理解しようとするが、理解の手助けに為らないものは、要らないから見ていない。
しかも、見たいものは人それぞれに違いがある。即ち、好みの違いである。
この違いが重要な事で"街並み計画"も「皆の好みに」のみを重点に！では、出来上がったとき、誰も見向きもしないものが出来て、失敗するものである。
２．景観とは、見たものを評価する事である。人間の目に入るものはどんなものか？
Ａ．（前提）
同じものを見ても、大きく見えたり小さく見えたりするが、見たいものが眼に入る角度を・・・
�� 目線幅、約10〜20度（距離によって角度は変る）にとり、（片腕を伸ばし、目線のところで握り拳をすると、拳で景色が隠れる上下の幅）
角は・・上下約60度（上・下方向で目は下方向を映す場合が多い）
�� 目線幅、約10〜20度 その時の左右の視野角は・・水平に約80度・・・にとったとすると
其の中に、
イ）大きくて見やすいものをみること。
ロ）見たいものが、見やすいところにあること。
に依って、「景観とは」を取り出す。
Ｂ．（評定）
人間は景観という現象によって、身の回りの多くを理解し判断して行動する。
従って、視点の無い景観は成立しないから、視点の優劣で景観の評価をするが、評価は人によって違ってくる。
3．良い景観、良くない景観？
◆見たいものの対して邪魔ものがある。
見たいものが小さい・・・良くない景観
◆見たいものが見やすい状態にある。他のものに騙されない（頭と眼の判断で）。見ようとする人に対する配慮がある(頭の喜び)・・・良い景観
４．集約すると、
観光まちづくりの景観とは何を意味するのか。「其処に行けば、楽しく休める場所」人をもてなす行政であると結ばれた。
時の流れ、雑感 高野瀬 恒吉（会員）●「いや、私は40年ほど前社宅を追われたので、地下鉄の千代田線が出来たときで、東京への通勤に便利だから移って来たのだが、こうしてノンビリと命の洗濯のできる我孫子は、好い処だョ」と応える。
●彼は「私は、駅の向こうの"日立精機"に30年程勤めていたが、閉鎖になった。我孫子に温泉が出来たと聞いて訪ねてきた。駅前の交番で尋ねたら、歩いて50分位と言うので、歩いてみようと道順を教わって来たから、これから行こうと思って」
●彼は土浦から沼南の橋の袂の温泉（満天の湯）を見たくて来たらしい。
●「南口の駅前も綺麗な街になったよねぇ、昔の家並みの面影は感じられない。この公園の入り口の建物（アビスタ）も好いし、ポプラ並木は無くなったが、この道は遊歩道と言うのか、散歩に心地よいし沼の景色も美しい。これから大橋を渡っていってきます」と、立ち去った。ご当人は、今土浦に住んでいるらしいが、バブル景気のころの我孫子を懐かしんでいた。時の流れに「景観の無常」が偲ばれた一時のこと。
