輝いた風景                             吉澤 淳一(会員)
普段何気なく通っている道の風景が、突然輝いて見える事がある。

我孫子駅南口に、蒸気機関車をモチーフにした小さな石碑がある。

今日は、その碑の前に沢山の小学生が座って、先生の話を聞いたり、碑に刻まれている文字を画板上の紙に写したりしている。碑の裏側を覗きこんでいる子もいる。そう、これは皆さんご存知の飯泉喜雄の顕彰碑である。碑には我孫子駅開設の功労者とも刻まれている。
我孫子駅前に集まっていた第一小の生徒たち
何をしているのだろうか。引率の先生に訊いてみたら、我孫子第一小学校3年2組の35人が、社会科の勉強に来ているとのことだった。道行く人々がほほ笑みながら「何の勉強をしているの?」「そうか、この碑を調べているのね」「この機関車は何だっけ」と話しかけて駅へ向かう。これから散策に向かうらしい、リュック姿の中高年男女の集合風景とは一味変わった、普段はなかなか見られないちょっと温かい風景だ。

翌日、第一小学校に担任の加藤昌子先生を訪ねて、お話を伺った。


3年生になって、変わってきた人々の暮らしや、働く人々の事を学んできたが、さらに我孫子のまちに興味を持ってもらおうと、先人達について学ぶことにした。

先人たちは今はいないが、残してくれたものはこの街に沢山ある。その一人が飯泉喜雄であり、我孫子駅であった。これからも白樺派の文人たちや、杉村楚人冠の事も調べていきたい。そうしたなかで、こどもたちが我孫子をどんなまちにしたいのか、私たちの我孫子について考えてもらえればいいのです。駅の周りにはいろいろなものが沢山あるので、これからも楽しみです。

良いお話を聞きました。駅前の小さな蒸気機関車が誇らしげに見えた風景でした。
景観あびこ47号の訂正とお詫び

3P目 ボランティアグループ"なごみの会"の2段組み、左、9行目 「根本とみさん」は誤りで、正しくは「榎本とみさん」です。謹んでお詫び申し上げます。
編 集 後 記
東日本大震災1周年をそれぞれの思いで迎えられたかと思います。先日開催された第8回景観づくりシンポジウムの講演で、田中聡さんが話された言葉が頭に残っています。「知覚動考」(ともかくうごこう)。まさしく、この事が必要だと思いました。すべてのことが一歩一歩進むことを願っています。(飯田俊二)

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