景観散歩 常陸太田を訪ねて                  清家 芳光(会員)
冒頭、当該景観散歩を企画されました幹事の皆様、綿密な打ち合わせをされ、参加者が心ゆくままに散歩を満喫できましたことと思い、皆様方の熱意とより良き景観散歩にしようとされましたご努力に深く感謝致します。

5月31日8時20分過ぎほぼ予定通り、我孫子ふれあい広場を出発、常磐自動車道に入り、眼下、車窓に広がる緑の絨毯の水田、森の彼方に拡がる山並みを楽しみながら、飯塚さんの丁寧手馴れたガイド、伊藤さんの香り高き名調子に酔いしれ、友部インターから水戸光圀公大日本史編纂の終居、西山荘に到着。晩年の光圀公の質素な生活ぶりを思わせる資料、終居の佇まいに往時に思いをはせる。

当所で食事、バスでJR水郡線常陸太田駅を抜け、鯨ヶ丘街並み散策起点の梅津会館に。会館前を散策、地元二人のガイドさんの丁寧なご説明。銀行であった蔵造りの印刷屋さん、軒上に古き良き時代の木造り看板並ぶ薬局、古民家醤油店をゆっくり歩き板谷坂の頂点に。

迫る家並み眼下に拡がる民家、濃緑の山並みを望みつつ急坂と街路の高さを実感。見下ろす眼下にせまる家並みこそ昔懐かしの昭和30年代、明日はみんながより良くなると信じ、生きていたころの懐かしい風景に他ならない。暫しガイドさんのご説明を受け、地元名物の鯨焼き屋、団子屋さん、ソフトクリーム屋さん、蕎麦屋さんの飲食系街路を散策、シャッター通りの活性起爆剤は飲食系店からか。それに絡むが如く鯨焼き食す一部たくましき女性の健胆ぶりに圧倒され、大和田時計店本店に到着。112年間、時を刻んでいる店奥真ん中にドンと構える大時計、「昨年3.11東日本大震災にも止まらなかった」とのこと。芸術品を通り越し、長き時間蓄積持つ圧倒的存在感、気高さに往時の匠の凄さが顕在。
進徳幼稚園でも天井高き木造講堂の重み、匠の仕事に出会う。香ばしい醤油の匂いヨネビシ醤油店。木造蔵にドカンと構える重厚な風格の醤油樽を縫うが如く移動、「樽は大正8年頃の建造、100年以上持つ」とのこと、往時の匠の技の凄さと誇りがある。日本のこの技、知恵は石岡でも見た萱葺き屋根の匠の技に通じる。

全国に残るこの物づくりの技こそ日本の誇れる原点、日本再生の原動力である。私にとって今回の散歩は昭和30年代、日本が心優しく、また強く勢いのあった時代にタイムスリップ、心癒された旅であり、また地域で残る匠の強烈ないぶし銀的技の存在に出会い、圧倒される旅の余韻を残し車中眠りに入った。
常陸太田 景観散歩 集合写真

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