「ケヤキ並木の坂道」                 佐野 晃(会員)
我孫子は本当に坂の多い街だ。平成11年第3回景観奨励賞の道というので、自分の足と目で確かめようと「ケヤキ並木の坂道」の辺りを散策してみる。湖北台団地の中央を貫く、なるほど風格のある坂だ。しかし、団地の東の外れに行ってみると、垣根越しに見下ろす湖北台中央公園の西と東に、公園を挟むように、こちら側に優美な曲線を描く「プロムナード」と、公園を隔てた向こう側に、どっしりしたケヤキが点々と並ぶ、かつて聖仁会病院のあった坂道が見える。しかし、ここは坂道のある我孫子離れした外国風の風景として心に留めて、目的の「ケヤキ並木の坂」に戻ることにしよう。

けやき並木
晩秋の湖北台・ケヤキ並木

ケヤキは大木になり、育ちが速い。並木に入るとたちまち商店の並ぶ日常生活から離れて、逞しい自然と、人間の想像力が造り出した世界の虜になる。メジャーを持って来たので数本の幹の太さを測る。太いのは地表から1メートルのところで、2メートル50センチある。メジャーは通常1.5メートルなので、1回では測り切れない。中にスリムなものもあるがそれでも1メートル50センチはある。
それがずらっと並んでいるのは壮観だ。根元に注意してみる。街路樹は通常大きくなると根元を囲ったマスを壊して、歩道を持ち上げたりする。それがあまり見られないのは、恐らくケヤキの根が縦に深く伸びる性質を持っているからだろう。我孫子でケヤキがよく育つのは地質が深く伸びるのに適しているからだろうかなどと考えてみる。

坂の上を走る「四季の道」には、両側の歩道にイチョウが植えてある。ケヤキほどすくすくと自己主張してはいないが、幹の周りは太いもので1メートル20センチ、中程度で1メートルくらいである。イチョウも大きくなる木だがケヤキには及ばない。湖北台の並木の年数を調べに市の教育委員会に行った。団地の造成時と同じと言うことだった。団地の庭にも同じような大きさのイチョウとケヤキがあちこちに大きく育っている。驚くのは、団地の庭も並木の坂も、掃除がきれいに行き届いていることだ。

ケヤキもイチョウも大きくなるだけでなく落ち葉が大変である。ケヤキ並木の大ケヤキはのびのびと枝を広げて、緑の季節には道の両側から伸びた枝が交差し、薄緑に輝くアーケイドを形成している。その坂を下るときは凱旋将軍のような希望に満ちた晴れやかさを味わうのだが、この華やかな饗宴の後に残る片付けは大変だろう。

団地の庭がきれいに清掃されているので、団地の人たちの努力としたらすごいものだと思い、過日閉まる直前の事務所を訪れた。事務員さんの話で、団地の入居者は共益費を払い、管理会社を介して「クリーン・メイト」と称する団地サービスの人たちに清掃などを委嘱していて、並木の歩道を含む道路は別だと言うことであった。後日市の教育委員会に問い合わせると、「ケヤキ並木」も「四季の道」も、市の道路なので、市が管理していると聞いて納得した。『広報あびこ』昭和44年7月16日号に「理想的な住宅街、申し分ない田園都市として」発展を期待している旨が謳われている。その理想の象徴としても大切にしていきたい坂である。
名戸ヶ谷あびこ病院 間もなくオープンに思う                        飯田 俊二(会員)
市民会館 名戸ヶ谷あびこ病院
市民会館が2007年3/31で閉館となり、 名戸ヶ谷あびこ病院が2012年12/1オープン
建設に当たっては、建築主の名戸ヶ谷病院、建設担当の松井建設さんには色々配慮を頂き、工事も終わり全容が見えてきました。白を基調にした7階建ての建物が落ち着きを感じさせています。

51号で佐野さんが「想像の坂」と題して、「白亜の病院が完成し、環境が整えられ、道路両側の歩道に整然と街路樹が植えられ、西側の歩道に沿って、この一帯に相応しい建造物が、行き当たりばったりではなく、ある程度の計画に従って配置されることを想像してみよう。おそらくこの近辺に類を見ない美しい坂道となるだろう」と、この道周辺の景観に期待を寄せておられました。周辺の整備も進みつつありますが、少し気になることが、2点あります。病院のはす向かい側に、朱色に近い色に塗られた建物と、便利になると期待されているコンビニの前にはためく数多くの「たばこ」の幟旗です。

我孫子市に大手の系列と思しきコンビニは約30店舗あります。一通り見てみましたが、市内に15店舗展開している大手はほとんどが道路際に幟旗を使っていません。他系列で我孫子に新たに展開してきた店が存在感を見せるためか、地域の環境に配慮しない店舗展開をしているような気がします。
先日旅行した平泉では、コンビニに類する店舗は茶系に統一されています。又、草津温泉前のコンビニも周囲の環境に配慮した色調にしています。もちろん幟旗はありません。

ちょっとしたことが、店の価値を高めると思うのですが・・・ 改善を期待しています。

林立する織旗と純色の看板・壁
        ・派手な色彩がぶつかり合う織旗、看板、壁

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