シリーズ「まちの美化に取り組む人々」-24- 
    シティア グリーンクラブの活動10年目          シティア自治会 グリーンクラブ 代表 関 基治
私の住むシティアがオープンして今年は早くも10年目になります。旧日立精機跡地に建てられたマンションで851戸と、我孫子市内では大きなマンションの部類です。コミュニティ活動のための共用施設が多くあり、開発プランではフリーマーケットも行える場所としてマーケットストリートと命名した、花壇を両脇に配した200mの長い、近隣の方も利用する歩道があるのも特長です。

最近のマンションは、セキュリティを重視し、敷地はフェンスで囲まれ、住民専用の出入口しかないのが一般的ですが、シティアは、建物以外はオープンな環境です。日立精機時代の大きな樹木が多く残され、緑の多い景観の印象を受けるでしょう。コミュニティ活動が盛んですが、そのひとつに敷地内の園芸活動を行う「グリーンクラブ」というグループがあります。マーケットストリートには1m角の花壇が46カ所、植え込みの間の花壇、各所にプランターが大小約30基があります。その維持管理がグリーンクラブの活動部分です。入居当初は花木の少ない植栽環境でしたが、グリーンクラブの募集をすると、20名以上の園芸好きの方々が集まり、もう少し花の多い花壇やプランターの設置をしようということから始まりました。

●花壇づくりの活動
  季節ごとに花が咲くことはうれしいものですし、心が和みます。私たちは、敷地のところどころに出現した無機質な建築的空間に大きな鉢を買い求め季節の花を植えることからスタート。いったん大きな鉢を設置すると、花を絶やすことはできません。また、その場所の、日照、ビル風、目立つところか通りすがりのところか、場所によってさまざまで、花の性質と花植えのデザインも違ってきます。園芸店では今度は何が良いか、こんな品種の草花も出てきたなどと決めるのも楽しい活動です。プランターは当然、美しい環境づくりの効果がありますが、たとえば駐車禁止のために、不細工な赤いコーンを並べることもあり、その赤いコーンの代わりにプランターを設置することで風景も格段に良くなることになります。この場合には、丈夫な樹木を選び、深鉢に植えてやれば、それほど水やり管理なども少なくて済みます。鉢の形はシンプルで、大きめ、同じ形状のものに統一することも景観づくりの面で重要です。水やりなどは、会員の当番制を取り入れています。

●活動は強制しない
  グリーンクラブは現在会員約40名。連絡はメール連絡がほとんどです。長く活動を続けるには、強制はしないことが大切だと思っています。出たい方、都合の良い方が適当に出るという方式をとっています。毎回活動に参加する固定メンバーも多くいますが、自由参加で気軽に出られる組織づくりも長続きするコツではないでしょうか。
シティアの花壇
●名所のチューリップ花壇
マーケットストリートには長さ50m、幅50cmのチューリップ花壇と称するボーダー花壇があります。毎年、1000球のチューリップを会員以外にも呼びかけて植え込みます。さらに同時期に咲くムスカリ球根を植えますが、サクラの季節になると、見事な人気スポットの景観です。住民やご近所の皆さんもカメラを向けます。しっかりと育てるには、子どもたちや犬の散歩の踏込から守るため、竹柵、ネット張など、試行錯誤の「ノウハウ」も増えてきました。チューリップの花の後は、ベゴニア・センパーフロレンスなどの夏の花に切り替えたりしています。土は毎年同じ種類を植えると地力が低下し、忌地(いやち)現象が起きて育ちが悪くなるといわれています。幸い、シティアは毎年多くの落ち葉が発生しますので、腐葉土づくりにも挑戦し、その腐葉土を利用して、花壇にすきこんでいます。

●我孫子市の道路空地に花を
入居後、敷地の周りには次々と新しいマンションが開発。それに伴う市道が新たに出現し、ところどころに道路と境界に残された道路空地が出現し、そこは通常は「雑草だらけの土地」になりがちです。私たちはその「道路空地」を市から借用許可を得て、草花づくりを楽しみ、道路の景観も良くなりました。まちには、道路空地らしき空間がところどころに見かけられます。これは市民の手づくりの絶好の場所です。もっと市民の輪を広げると良いでしょうね。

●経費と今後の課題
花壇づくりに必要な経費は自治会の予算から60万円支出。若干、額が多いと思われそうですが、1戸あたりに換算すると年間700円、小さな鉢物の値段です。シティアは10年を迎えようとしています。当初からの会員も高齢化し、退会される方も出始めています。若い会員もいますが、少ないのが不安課題です。これからもシティアのグリーンクラブのノウハウをつなげて、花の絶やさない景観づくりを続けたいと願って。

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