「新四国相馬霊場八十八ヶ所」を訪ねる(1)
      霊場めぐりと利根川の景観           柏倉達子(会員)
当会では、我孫子市市史研究センター編集の「新四国相馬霊場八十八ヶ所を訪ねる」(平成25年1月発行)を参考にして、札所巡りを兼ねて、周辺の景観散策会を数回に分けて実施しています。今回はその第1回です。
利根川の流れ 右側が我孫子
2013年6月4日午前8時45分、常総線取手駅改札口に男性7名、女性5名、12名が集合しました。天気は快晴で気持ち良いスタートを切りました。稲戸井駅で降り、住宅地、農園を歩き、取手58ヶ所の中の最初の札所「79番札所、龍禅寺」と「47番札所、三仏堂」を目指しました。山林の中の小径を降りると明るい谷津田が目にとまり、畦道に続く坂道を200mほど歩くと最初の札所に到着しました。

1,144坪の広い境内には、モチの木、キンモクセイ、カヤの木の巨木があり、取手市の重要巨木に指定されています。三仏堂の門前右手に安永4年(1775年)の札所塔「新四国四拾七番」が建ち、正面に茅葺き寄棟造りの優雅で素朴な三仏堂があります。内陣には3体の仏像が安置されています。三仏はそれぞれ過去、現在、未来を表現し、運慶の作と伝えられています。又「安産三仏堂」としても知られ、安産祈願をする人たちが多いそうです。

利根川ごしに中央学院大を望む

将門は三仏堂で生まれたとも伝えられています。戸頭地区の住宅や畑を通り、34番札所「薬師堂」に到着しました。大師像は薬師堂左手前に安置され、木造で衣が赤色に彩色された坐像です。取手市の保存樹木である大きなイチョウの木があります。次の45番「永蔵寺」は、本堂は消失して今はありませんが、境内に入って東隅に大師堂がありました。

※1 鳥居の種類
神明系の戸頭神社
明神系の柴崎神社
新緑の小道をここちよく歩き、檜の木の塀と庭の手入れの行きとどいた家を見ながら戸頭神社の前で、鳥居には二つの種類(※1)があるという説明を聞きました。坂を下る途中の両側に大きな桑の木があり、沢山の実をつけていました。その実を食べて昔の子どもの頃を思い出しながら、利根川の土手を登り、遊歩道を取手方面に歩きました。対岸の我孫子方面に目を向けると、布施弁天、駅前のけやきプラザ、電研の建物などが見えました。こちら側から眺める利根川の景観も素晴らしいものでした。

白山神社の向かいの三叉路にお地蔵さんが2体あり、手編みの帽子とよだれかけをつけて、その赤色のあざやかさが目に焼きつきました。62番札所「白山神社」は昭和56年2月に取手市の指定文化財に指定されたが、老朽化のため本殿と拝殿の改修に着手、平成21年に竣工されました。大師堂は本殿に向かって参道の左側に建っていて、境内には庚申塔、二十三夜塔、伊勢神宮参拝記念碑、四国一周記念碑、道路改修記念碑の石造物があります。一人の若者が熱心に長い時間手を合わせていて、何を祈願していたのでしょうか。
往時の面影を残す参道

次に33番札所に到着します。参道を入ると鐘楼の石積みの土台に、同寺の梵鐘に関する説明書きがありました。大師堂と朱色に塗られた「ぽっくり観音」が並んでいます。信心をすればご慈悲をもって守ってくれるというので、私もお願いしてきました。参道正面に本堂があり「呆除(ぼけよけ)不動」もありました。

44番札所「西光寺」に向かう道は、竹林があり深い谷になっている道をぬけると左手に旧大師堂があり、正面のさらに一段高い石段を登った所に本堂がありました。建物の東隣に現在の大師堂があります。どの札所にもご詠歌が書かれておりました。

次の掛所(
※2 相馬惣代石清水八幡宮)は平将門の守護神として崇敬が厚く、将門没後守谷城主の相馬家累代の氏神となりました。古い道標と椎の木があり、地面に沢山のどんぐりの実が落ちていました。

国道294号線を横切り、最後のとげぬき地蔵に到着し参拝をしました。地蔵の表と裏に多くの千羽鶴が納められており、諸病気回復祈願をする人が多いことに驚きました。とげぬき地蔵から歩いて新取手駅より電車に乗り取手駅に着きました。ボックスビルの5階で楽しみの昼食をして、午後1時解散しました。今日の札所を訪ねた歩数は16,000歩でした。心が洗われるような霊場巡りでした。


※2 札所ではないが巡拝の途中で特別に立ち寄る場所を掛所といい、札所間が離れている場合の休息場ともなる。

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