私のお気に入りの散歩道 杉原 紘輝(会員) | ||||
●いまの白山の家に住むようになり15〜6年になる。転居当時は東京に通勤していたこともあり、休日もあまり散歩に出かけることはなかったが、5年前に退職し時間的に余裕が生まれたこともあり、以来、頻繁に散歩に出掛けるようになった。現在自宅を起点に3〜4コースの散歩道を決めているが、今日はその中から、私にとって最もお気に入りのコースを紹介したい。このコースは、四季折々の様々な草花やわずかながら果実を見ることができ、歩くたびに気持ちを新鮮にしてくれ、さわやかな季節感を与えてくれる。癒しをもたらすお気に入りの散歩道である。 ●このコースを簡単に説明すると、自宅を出発し白山1丁目の飯田医院の前のなだらかな坂道を真直ぐに下り、突き当りのハケの道のところを右に曲がり、北柏に向かって約4〜5百メートルばかり進むさほど広くない道である。 ●この道は車の通行も少なく、また人の往来もまばらである。右手は右上の住宅地につながり、左手は畑や住宅が点在し緑に恵まれた静かな道である。 ●もう少し立ち入ってみると、自宅を出てすぐの通りを進み、飯田医院車庫の前を注意して見ると、そっと小さな植木鉢が置かれており綺麗な花が咲いている。すぐ前には大きな桜の老木があり、春には空中広く華やかなピンクの花模様を一面に見る事ができる。また新緑の季節には坂道を下りるに伴い花水木の新しい葉と白やピンクの花を見ることができる。 ●この道は花ばかりではない。更に坂を下り右に曲がる角地のところには、青い毬栗の実をたわわにつけた大きな栗の木が、手を広げたように広く空間を占めており、もう1か月もするとこの実も茶色の濃い豊かな毬栗に変わって行くことであろう。 ●また、青い実をつけた柿の木もあり、これもまた、これからの色づきとともに季節に彩を添えてくれることであろう。 ●道を少し戻ると、右手を白山中学校の方向に緩やかに上がって行く坂道があり、上がったその左手に古墳公園があり、ここも興味のあるポイントである。 周辺の畑も季節によってつくられる野菜が変化に富み、いまは里芋等をみることができる。散歩の途中で畑の中で作業をしておられる農家の方と話をした。今日は秋に収穫するカブの種をまいているとのことであった。 ●このコースの途中6か所にわたり、白山の住宅地に上がるコンクリートの急な階段があるが、注意をしながら上に上がると、手賀沼を一望できる。沼の向こうの林の下の旧沼南町の方向を見ると、走行している車が小さく見える風景も、いっぷくの絵のような印象を受ける。以前白山は豊かな住宅地・お屋敷地として人気があった時代もあるが、近年これらの大きな住宅地が何区画に分譲され、新しい住宅地に生まれ変わっている。これも時代の変化を映した動きであろう。 |
●白山のはずれにあるなだらかな階段(富士見坂)を上がると、天候の影響も受けるが、運がよければ、はるか西の方に遠く小さく富士山をみることができる。特にこれから晩秋にかけて、夕日とともに美しく見ることができる期待される楽しみの一つである。 ●ところで、京都市の郊外南禅寺の近くに通称「哲学の道」といわれる小川にそった細い道がある。京都大学の有名な哲学者西田幾太郎氏等がよく思索をしながら歩かれたといわれている。 ●私も何年か前に一度ここを訪れたことがあるが、その時の記憶では草花等豊かな自然を感じた覚えはなかった。今回紹介したこの私のお気に入りの散歩道は、花や木々や小鳥たちの自然の息吹に接することができ、また、農家の方々の営みを身近に見ることができる。先の哲学の道に決して劣らないところだと、密かに自負し自己満足をしている。 ●この道は私にとって穏やかな気分に浸りつつ、気持ちよく気分転換を図ることのできるお薦めのスポットである。 ●自然の営みにより、変化を身近に感じながら、また、思案をしつつ歩くことは生きる幸せな一面でもある。豊かな営みに感謝したい。(8月31日記) |
|||
|
||||