我孫子の景観を育てる会 景観あびこ_title 第90号 2019.5.18発行
創刊 2002.3.29
編集・発行人 吉澤淳一
我孫子市つくし野6-3-7
我孫子景観基礎研究の連載を終えて                         建築家・工学博士 野口 修(会員)
  平成27年9月より執筆の機会を頂いた「我孫子景観基礎研究」の連載が、平成31年3月発行の90号で終わった。

/村楚人冠の“手賀沼ビジョン”に関する考察(第59〜73号)、2020年に向けた手賀沼の“景観ビジョン”(第76〜80号)、最新の都市公園事例が変える緑地景観の可能性(第81〜85号)、げ翅校劼竜貪\廚ら辿る白樺派たちの創作的視点に関する研究(第86〜90号)といった4つのテーマについて、各5編、計20回の連載となった。

  連載当初、杉村楚人冠をテーマとした回では、本会発行の『楚人冠のメッセージー愛する手賀沼と共にー』を参照し、残された文章と年譜を見比べながら、楚人冠が描いた“手賀沼ビジョン”について想いを巡らせた記憶がある。2、3番目のテ
ーマでは、これまで考えた手賀沼の水辺景観に関する提案を紹介したり、気になっていた都内の緑地・公園利用に関する最新事例を訪れて調査する機会をつくることも出来た。

  最後に取り組んだ白樺派は、短い連載で語り尽くせるテーマではないが、研究視点の端緒だけは記せたと思う。我孫子で暮らした志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦とも、活動が幅広く、多くの小説や文章資料、各地に所縁の建築を残していることから、今後もう少し時間をかけて調べてみたい。
  また、連載を重ねるにつれ、我孫子ゴルフ?楽部の観桜会や、日立総合経営研修所の庭園公開、八景歩きなど、本会活動の現場で温かい言葉をかけて頂く機会が増えたことは、大変励みとなった。

  連載のスタートは、本会のシンクタンク部門として、我孫子の景観を保全し、活用する戦略づくりの基礎研究だった。我々が普段目にする景観が、個人や法人、あるいは行政などが所有する小さな不動産の寄せ集めである以上、その保全や活用には様々な利害が影響する。当然、本連載で考察した先人の理想や先進事例と反対の方向に進むことも多い。

  しかし一方で、景観の悪化は地域全体のイメージ損失でもあることから、現代社会では、景観を“地域共有の社会資本”とも位置付けている。つまり、この点においては、誰もが景観の保全や活用に対する意見を提起する自由がある。そしてまず、我孫子の景観戦略において最も重視すべきは、子供から高齢者までの幅広い層が景観に対する関心や問題意識を持ち、積極的に議論する土壌をつくることだと思う。
  そのきっかけづくりに本連載が役立ってくれると嬉しい。

連載お疲れさま! 我孫子の景観基礎研究レポート完結                       吉澤 淳一(会長)
  景観は地域の文化のバロメーターともいわれる昨今、各地で景観に関する取り組みが盛んである。本誌では、3年半にわたる「我孫子景観基礎研究」の4つのテーマの連載が終了した。建築家・工学博士である会員野口修さんの持つ、豊富な景観事例と洞察力に裏打ちされたレポートは、景観を守り育てる活動を実践している私たちにとって、大変貴重な情報である。そして、それが単なる情報ではなく、そこには我孫子の景観、手賀沼の水辺景観について示唆に富んだ提案が含まれており、これは我孫子市にとっても重要な財産である。   私たちはこの貴重なレポートを、冊子として発行するとともに、野口さんによるシンポジウム等の機会を設けることを考えている。

  これは、平成27年度に本会に設置した「景観総合研究所」の最初のレポートであり、今後もテーマを設けて継続していきたい。
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