(P6からのつづき)
【常陸太田市(鯨ヶ丘)】第15回
馬の背状の、鯨が浮かんでいるような台地に昔ながらのまちなみがある。まちに入る前に、水戸光圀公が大日本史を編纂した西山荘を見学した。黄門さまになった気分で。

【1泊景観散歩】第16回
たまにはということで、1泊旅行を企画した。市民バスの利用条件は年に1回で、走行距離は250キロ以内だとか。初日は常磐道から圏央道を経て足利市へ。足利学校にほど近い足利氏所縁の鑁阿寺(ばんなじ)には柳宗悦が世に紹介した、木食上人の灯篭があるというので皆で探したが、時間切れで見つからず。次いでココファーム・ワイナリーへ。ココファームブランドのワインは東京でも目にする。急斜面のブドウ畑を眺めながら洒落たワンプレートランチに舌鼓。宿泊は伊藤紀久子さん紹介の、武蔵嵐山にある国立女性教育会館で快適な一夜を。2日目は関越自動車道を北上し、上信道に入り富岡製糸場に。日本で最初の官営模範製糸場である。世界遺産に登録される2年前に訪れたのである。隣の甘楽町では、織田信雄によって築庭された「楽山園」を回遊して、せせらぎに沿った「歩きたくなるまち"小幡"」の散策を楽しんだ。幹事団は1泊2日のコース下見を1日で済ませたという。

【行田市】第17回
以前に、個人で電線類地中化の調査で訪れた際、このまちに魅力を感じ提案して実現した。忍藩(おしはん)十万石の城下町。下級武士の内職で作り始めた「足袋」が名物に。昭和初期には全国一の生産量とか。日本有数の大型古墳も見逃せない。昼食に出た「ゼリーフライ」がなんとも不思議なものだった。映画「のぼうの城」ドラマ「陸王」の舞台になっている。

【さくら市】第18回
さくら市は、平成17年に栃木県の氏家町と喜連川町が合併してできた市である。今回は喜連川地区の訪問であるが、おそらくこれまでで一番遠いのではないか。条件の15キロギリギリである。幹事さんは長い道中参加者を飽きさせないために、訪問先に因んだクイズを出したり、名物の温泉パンの予約をとったり、いろいろと工夫していた。まちは小さな城下町ながら、「御用堀」「突き抜け井戸」「寒竹囲い」など工夫を凝らしたまちなみが見られる。若山牧水、野口雨情などゆかりの歌人の碑が町中に点在している。古い警察署の留置場を改装したレストランでランチを食べた。
喜連川のまちなみ

【木更津市】第19回

久しぶりの千葉県。往路は東京湾アクアラインを通って木更津入り。切られ与三郎の墓、證誠寺の狸ばやし、木更津甚句などでお馴染みの街であるが、昨今は「木更津キャッツアイ」など若者の街としても売り出している。アクシデントが起きた。参加者の一人が暑さゆえか体調不良を訴え、救急車で病院へ搬送されることに。幸い大事には至らず、帰りは一緒に帰ることが出来た。これ以降、参加者は健康保険証必携にした。
【福生市】第20回
多摩川とその分水「玉川上水」に沿った武蔵野の面影を残しつつ、市の3分の1を占める基地の町の見学である。東京の西に足を延ばすのは3回目だが、遂に中央高速で渋滞に捕まった。まちなみを急ぎ足で巡り、酒蔵を見学したが、アメリカンハウス、ベースサイドストリートは割愛せざるを得なかった。幹事さんの胃の痛くなるような気持がよくわかる。皆さん、名物「大多摩ハム」は手に入れたようだ。

【佐倉市】第21回
前回のタイムオーバーに懲りて、近場の名所へ。名門佐倉高校の記念館は国登録有形文化財である。この学校は長嶋茂雄が出たので有名だが、なんと我が濱野さと子さん(故人)、瀬戸勝さんの出身校でもあった。順天堂記念館、旧堀田邸、武家屋敷見学の後、川村記念美術館の庭園を訪れた。
以降26回までは2度目の訪問である。
佐倉高校の旧校舎前で

【八王子市】第27回
青梅市、福生市に次ぐ西域訪問である。見所を八王子城址と武蔵野陵墓地に絞ったので、遠方の割には時間に余裕があった。私の友人が城址のボランティアガイドをしていたので、推薦させてもらった。
雨の八王子城址

27回の景観散歩を実施し、平成22年、28年に合わせて20回分のレポートをまとめた。会員それぞれに得るものは多く、会の諸活動に活かされていると思う。候補地を選定し、市の福祉バスを予約し、綿密なプランを練り、現地に足を運び、先方のガイドさんたちと打ち合わせをして準備万端整える。当日はもう皆さんご承知の通り、至れり尽くせりでその辺のバスツアーなんぞ顔負けである。歴代の幹事さんの皆さんのご苦労を謝したい。

現在、会の活動で移動する場合は原則として公共交通機関を使うことになっていて、景観散歩の下見も例外ではない。幹事さんたちの下見はご苦労が多い。
次回は館林市を予定している。
(執筆者より)
第98号、回顧録7《我孫子の坂道研究》〜その3〜【九年母坂】の一部を修正します。
文中、横手艸雨の句がどの文献に載っていたのか忘れたと記したが、メモからそれがわかったのでここに付記する。
「あびこ風土記」(昭和42年4月1日初版
筆者:古谷治 発行者:小熊勝夫 北総郷土研究会)
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