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  ならば、景観の保全だけから「餌付け」をしたらと思ったのでした。「生態系」も景観のうちと考えるべきでしょう。今、上述の導水ですが、第二機場からの導水は毎秒最大10立方メートルの水が手賀沼に流れます。手賀沼本来の水は利根川になってしまい、手賀沼本来の生き物すべてが、そこには見ることが出来なくなるのは容易に理解できることです。

  今、ここに小学生の副読本「学習図鑑、ふるさと手賀沼」があります。これによれば、「手賀沼の自然と生い立ち」の中に、無数の草花や公園の木々、その中を飛び交う昆虫や野鳥や水鳥が見ることが出来るし、その背景になる斜面林の間に咲く草花や、水辺にはマコモやショウブの原などが生き生きと見られます。小学生の副読本が「我孫子の原風景」になることを願うものです。そのためには手賀沼周辺の自然の維持管理に力を尽くさなければならないと思いました。新たな仕事は行政に手伝ってもらって、景観法の活用を広げたいものです。これまで市民、公共の力は弱体でした。今までの訴訟でも市民は弱体で、国立の高層マンションの問題で、地裁では市民に味方しても、高裁では地主の肩を持ってしまいました。和歌山城前の高層ビルでも行政が地元と一緒になって、お城の天守閣よりも何十メートルも高いものを、地域の活性化の為だと市民の反対を押しのけて、大声で押し通してしまいました。フランスの例に習えではありませんが、行政の法律の前に市民の声、市民のオーダーがあります。それを大事にしたいものです。

  最近の危険な問題例を出すなら、大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)の環境影響評価(環境アセスメント)が表面化しつつあります。先日は、埼玉県小川町で計画されているメガソーラー(出力39,000キロワット)が山の一部を含む起伏ある土地に35万立方メートル以上の盛土を外部から搬入する計画だということで、山口環境相が「抜本的な見直しが必要」と異例の意見書を経済産業省に提出したというのである。
  しかし、これは隣事とはいえ他人事ではない。特に、わが町我孫子は水辺に囲まれ、遠景を多とする景観の町である。聞くところによれば、太陽光発電は2030年までに現在の2倍に拡大すると閣議で決定したという。今でこそ、平地の視線の下向きにしか見えないが、もし、手賀沼の対岸がメガソーラーで埋め尽くされたらと思うとゾッとしてしまう。以上のように、様々な問題を取り上げてみましたが、それぞれに私たち市民がどう声を張り上げて、行政を動かしていくかの問題です。批判を恐れずに言わせてもらえれば、フランスの例に倣って、「オーダーメイドのまちづくり」することになると考えました。

  最後になりますが、我孫子の景観をより美しくという夢ものがたりをしながら終わりにしたいと思います。私たちの会が立案して実行している「我孫子のいろいろ八景歩き」は評判も良く、多方面にわたり行政も応援してくれているプロジェクトですが、その中の「ハケの道と坂道の岡発戸こもれびコース」のマップ中に「お遍路道」を見つけたのです。それは新四国相馬霊場八十ハヶ所のお遍路道です。我孫子ゴルフ倶楽部は開場から90数年が経ちますが、「我孫子ゴルフ倶楽部50年史」によれば、そのお遍路道が現在のゴルフ場の中を横切っているのです。鎌倉時代の執権北条時頼の娘、桐姫の開創の古寺として有名な正泉寺から都部の谷津を通り、ゴルフ場の中に入り滝不動に通じる遍路道です。はるか昔、お遍路さんが鈴の音を響かせて、「大師まいり」をやっていたのです。それを指す石柱が現在でも5ケ所残っています。この間、倶楽部の新・旧理事長の小川さん、富田さんに年1回でいいから「いろいろ八景、スペシャルバージョン」を実現して、市民の皆さんにも「お遍路」体験をしてもらいたい、そして鎌倉時代の我孫子の風景を想像してもらいたいとお願いをした話で終わります。   −END−

 <参照> 景観あびこ 掲載号
*中村良夫  96、97、101、106号
*西村幸夫  104号

屋外広告を考える     飯田 俊二(会員)
●違反広告物 除去ボランティアに参加して
  2018年3月に市の違反広告物除去サポーターに登録し、今年で満4年になります。やり始めたきっかけは、フランスの広告規制に比べ日本の規制は極めて緩やかで、海外の街の状況をテレビで見るたびに我孫子の街と比較していました。特に電柱や、路上、壁面での広告物の無秩序な氾濫に少しでも役に立てればと思い応募しました。

  月2回、午後2時からほぼ2時間程度、もう一人のサポ―ターと景観推進室の職員の方が運転する車に同乗し、市内の違反広告物情報に基づき、現地に赴き、違反状況に応じてすぐに除去可能な貼り紙は除去し、それ以外のカラーコーン、電柱に取り付けられたラミネート加工した貼り札に除去勧告シールを貼り、1週間後に回収するスケジュールで作業しています。

 最近の市全体での除去実績は、令和元年度1331件、令和2年度507件で、以前に比較して減少している様で、多少の効果があったのかと思っています。体の許す限りがんばりたいと思っています。

●ケーズデンキの広告看板 建物壁面のリニューアル
  ケーズデンキの建物、看板のリニューアルが実施されました。たまたま通りかかった時に雰囲気がずいぶん変わったことに気づきました。企業のシンボルカラーである黄色、赤を基調とした広告看板、壁面が一新されました。我孫子市景観推進室による「手賀沼ふれあいラインにおける景観づくり」の一環での助言で、色彩変更が実施されたようで、企業側の判断に敬意を表したいと思います。


ケーズデンキ開店時に、色と高さについて改善を申し入れた元会員の故滝日一子さんの願いが一部実を結んだ感じです。(撮影日 2022年2月)

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