白樺派のまちの見える化 その4  - 鬼平犯科帳のまちの見える化 -   
 池波正太郎の「鬼平犯科帳」「剣客商売」に登場する向島の三囲神社のことは、境内に珍しい三角鳥居があることから本誌93号に寄稿した。2019年5月「鬼平犯科帳の舞台を巡る街歩きツアー」に参加した時のことである。数回にわたってのツアーの第1回目で、現東京都墨田区の本所・向島界隈を名調子のガイドさんの案内で楽しんだものだった。小説の一節、事件の舞台や背景、テレビドラマの1シーン、五郎蔵やおまさ、相模の彦十が盗っ人を尾行する江戸の町の佇まいなどを思い浮かべながら、ガイドさんの一言一句を聴き逃すまいと無我夢中で歩いていたのを思い出す。

 そして、コースのポイントには高札を模った「鬼平情景」と題した説明板(写真1〜5)が墨田区によって建ててある。
 江戸の面影が消え去ったまちの中に、そこだけが心象風景として物語がリアルに立ち上がってくる。

 寺や社の境内には往時の面影はあるのだろうが、実存した長谷川平蔵(入江町の銕)の旧邸はコンビニに化しているし、池波正太郎が創りだした密偵たちの棲家、軍鶏鍋屋や蕎麦屋などは元々あるはずはないのだが、その高札に出合って物語が活き活きと蘇ってきたのである。
 今こうして「白樺派のまちの見える化」に取り組んでみると、そのために出かけたわけではないのだが、あの日にあの地で貴重な出合いをもたらせてくれたツアーにとても感謝している。 (銕=鉄)
 番外編
蛍観賞会に行ってきました  7月30日(土)    伊藤 善子(会員)
先日、景観の会の皆様と、参加者10人でホタルの観賞会に行ってきました。私にとりましては、このところ蛍を見る機会がありませんでしたので楽しみでした。場所は岡発戸の谷津ミュージアムで、道は暗くでこぼこしていて、草が生えていて歩きにくく緊張しましたが、蛍はたくさんいて、喜びと感動を貰いました。最高でした。

子どもの頃に蛍狩りをしたことを思い出しました。采穀帚(菜種をとった後の茎を束ねたもの)を振り回して蛍を追いかけ夜遅くまで遊びました。父は手先が器用で大きな蛍籠も作ってくれました。
「ほ、ほ、ほたる来い、あっちの水は苦いぞ、こっちの水はあまいぞ、ほ、ほ、ほたるこい」

 この谷津ミュージアムの蛍は平家蛍で、幼虫の餌はタニシやモノアラガイ、カワニナなどの巻貝だと聞きました。水はきれいな水でないと良くないとか。この蛍を育てていらっしゃる方々の中には景観の会の人もいらっしゃるということを伺いました。いつもありがとうございます。おかげさまでよい蛍観賞でした。感謝いたします。

*俳句は筆者・・・伊藤紀久子さんの俳句のお仲間で7月に入会されました。、

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