「我孫子のいろいろ八景」の10年を振り返る
みんなで歩いた「我孫子のいろいろ八景」    中塚 和枝(会員)
我孫子市の「景観形成市民啓発事業」に応募し、平成24年度から「我孫子のいろいろ八景事業」が始まり、市民の皆さんに公募で探して頂いた3年間。いろいろ八景の発表会はコンサートとセットで毎年度開催し、大盛況であった。

発表の後は「普及・定着」のために市民の皆さんに実際に歩いて見て頂こうと、27年度からコース選定とマップ作成を同時進行し、出来上がったコースは早速マップを片手に会員のガイド付きで、春と秋に市民の皆さんを案内した。3年間で12コースの「我孫子のいろいろ八景歩きマップ」と「桜」「水」のマップが完成し、翌年「成田線車窓八景」が発行された。

八景歩きは毎年行われた。元号が「令和」と変わり、未曽有のコロナ禍が襲来したが、コロナ対策をしながら「八景歩き」を実施してきた。

その間に我孫子市では、インターネット上に市のさまざまな情報を、地図を利用して公開する地理情報システム"我孫子市公開型GIS「あびまっぷ」"の活用が始まった。「我孫子のいろいろ八景」は最初から組み込まれ、市民がお気に入りの写真を投稿できる。また我孫子市生涯学習「出前講座」にパワーポイントで八景歩きの紹介ができる「居ながら八景歩き」を登録し、中央学院大学の学園祭でも実施した。
さて、振り返ると八景歩きのコース選定が特に印象深い。全会員が4エリアに分れて点在する八景をどのように組み合わせ、いかに効率よく、楽しく見ていただけるか。八景にたどり着く途中の景観も重要である。

布佐・新木エリアを担当した。まず1万分の1の地図に遠くに点在している八景を落とし、駅からのルートを何本も引き、エリアの皆さんと歩く前に自分の足で確かめた。時には台地から10m以上の高低差の坂道や藪の中、1kmの田圃道を歩き、利根川の土手から手賀沼干拓地まで横断した。また、成田線にはいくつもの踏切があり、その趣が何ともいえず良い。坂道を上ると台地には樹林に囲まれた畑が広がり、いかにも我孫子らしいと思ったものだ。

八景探しから始まった「我孫子のいろいろ八景」の発行マップ数は167,000部になり、「八景歩き」では延べ約350名の会員がガイド・スタッフとして参加している。

一緒に活動した皆さんと大変だったけど楽しかったねと共感しあい、話し合いたいといつも思っていた。3年間のコロナ禍もようやく収束の兆しが見えてきたようで、皆さんとお会いできるのが楽しみだ。
いろいろ … 楽しかった、面白かった etc. …              鈴木 洋子(会員)
入会して間もなくから「いろいろ八景」の企画が始まり、最初から関わることになった。東西2回に分けての現地調査では、いい景観は見方や切り取り方で良さが浮き出てくることを知り、「いろいろ八景探し」がスタート。それからは、コンサートや見聞綴りの為の写真撮影。各エリアの調査や下見、または個人での撮影。特に桜は、湖北台をおむすびを持って自転車で走り回り、成田線は一人で2往復したこともあった。
2017.10 岡発戸コースのリハーサル風景
発表会コンサートは、市民プラザとけやきプラザふれあいホールで計3回開催したが、映像を見ながらのナレーションでは、大久保光哉先生の厳しい?ご指導のもと、なんとか舞台に立つことができたがドキドキの体験だった。

4年目からは「いろいろ八景歩き」。先ずはマップ作り。吉澤前会長の「誰かやってくれる人」の呼びかけに、中塚和枝さんとそっと手を挙げた。市役所の若い職員2人にエクセルマップを1から教えてもらい製作を開始。同時にエリアリーダーとして、「八景歩き」の準備(リーダー会議・コースの下見等)をして毎年コースを変えて実施。参加者と話をしながら歩いたり、スタッフの名ガイドを一緒に聞いたりと、苦労もあったが、今となっては楽しい思い出となっている。他にも、「居ながら八景」のパワーポイントの作成や、市外の方達との交流も、この「いろいろ八景」があったからこその楽しさと面白さである。

今は我孫子を離れたので、もう参加はできないが「我孫子のいろいろ八景」は素晴らしい事業で、良い経験をさせてもらったと感謝している。
編 集 後 記
  コロナも今年に入って徐々に沈静化し、行動規制もゆるくなり、外に出かける機会も増え、周囲に関心が向く様になってきた今日この頃です。野口修さんのレポートで、街路樹で選定される樹種が「大きくなりやすい木」から「維持管理費が少なく植えやすい木」に変わってきているとのこと。
  最近、市内のあちこちで大きく成長した木が伐採されるのを眼にします。 我孫子市の街路樹で今回紹介する湖北台のけやきは大きくなりやすい木の代表ですが、これからも維持されることを願っています。
  「我孫子のいろいろ八景」10年の振り返りで、中塚会長、鈴木副会長の、特にマップ作りにご苦労されたことに敬意を表したい。(飯田俊二)

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