我孫子の景観を育てる会 | ![]() 創刊 2002.3.29 |
第124号 2024.11.16発行 発行人 中塚和枝 我孫子市緑2-1-8 Tel 04-7182-7272 編集人 大久保慎吾 |
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ニュージーランドの初訪問は、商社マン時代の1982年10月の出張。以降5回も同国を旅行し、北島と南島のほぼ全土を回った。最も印象的で今後機会があればぜひ再訪したいと思ったのが、2008年9月に滞在した南島のダニーデン。同島の最大都市クライストチャーチの南西362kmにあり、人口は約13万人で南島第2の都市。古き良き時代の名残りを色濃く残すシックな街だ。
19世紀中頃ダニーデン一帯のオタゴ地方で、金鉱が発見されてゴールドラッシュに沸いた時に活躍したのが、1万8000kmほども離れた北半球の英国・スコットランドから南半球の同地方に渡来してきた移民。彼らが望郷の念に駆られて祖国を懐かしみ、石造りの立派な建築を再現したのがダニーデン。「南海のエディンバラ」と呼ばれキリスト教会が多い街を散策していると、一瞬スコットランドの首都エディンバラ辺りにいるのではないかと錯覚する。世界は広いが、同時に狭いとも思わせる。またオタゴ大学があるなど、人口の約2割は学生が占める静かな学園都市でもある。 市内の中心部には市民憩いの場となり、八角形に区画整理されたオクタゴンと呼ばれる緑地帯の広場がある。見どころの大半は広場から歩いて回れる範囲内にあり、ダニーデンの観光はここからスタートすると分かり易いし便利だ。スコットランドスタイルの歴史的な建造物は19世紀後半から20世紀初に建てられたが、そのほとんどがオクタゴン周辺に集中している。
まずオクタゴンのほぼ真ん中に堂々と建つセントポ−ル大聖堂は、1915年から4年かけて建てられたネオゴシック様式のアングリカン(英国国教会)。オマルストーンという良質の石灰岩造りで、内部は外見に似合わずシンプルだが美しいステンドグラスが素晴らしい。訪れたのがちょうど日曜日で、厳粛なミサが行われていたのが印象的。道路を挟んで東隣に建つのが、時計台が有名な市議会議事堂(市庁舎)。1880年に建てられたビクトリア様式の建物はニュージーランド最古の市庁舎で、1階にはビジターセンターが入っている。
この議事堂から広場の中心にある緑地帯を挟んで反対側に、高さ56mのゴシック様式の塔がそびえる。1873年築のファースト教会で、プロテスタント系のプレスビテリアン教会(長老派教会)。この教会から約200m南東には赤レンガ造りの建物が立派なオタゴ入植者博物館があり、先住民マオリの伝統的な木彫り・道具や開拓当時の品などを中心に展示されている。 この博物館から400mほど北上すると、宮殿風でもあり城塞風でもあるダニーデン鉄道駅がある。黒色の玄武岩にオマル産の白い石灰岩の縁取りに特徴のある、豪華な装飾が施されたフレミッシュ・ルネッサンス様式が見事。1906年築の建物には改修が加えられているが、現在でも当時の壮麗さをそのままに残している。建物の外観も素晴らしいが、内部もエントランスホールなどの壁や床の美しい仕上げなど見応えがある。またチケット予約ホールのモザイク床には、英国王室御用達ロイヤル・ドルトン製の磁器タイルが75万枚も使用されている。全長1kmもあるプラットフォームはニュージーランド国内では最長で、 毎年10月この駅で開催される南島最大のファッション・ショーでは長いプラットフォームをモデルが歩く。ちなみに、現在ダニーデン駅を発着する列車は景観が美しいタイエリ峡谷を訪れる観光用列車のみで、地上階のほとんどはレストラン、2階はアートやスポーツ関連の展示ギャラリーとして使用されている。
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鉄道駅から1kmほど北には1869年に創立されたニュージーランド最古の大学、オタゴ大学がある。ゴシック様式のクロックタワーでは荘厳な雰囲気が漂う。キャンパス内には緑が多く、また小川が流れて広い公園のようで世界で最も美しい大学の一つとの評判。 歴史を感じさせる校舎では、国内外から集まった約2万人の学生が学ぶ。この大学に劣らず由緒あるのが、オクタゴンから西へ1kmにあるオタゴ男子高校。1863年創立の古い歴史を持つ一方、欧米やアジアの留学生も受け入れている国際的な高校だ。
郊外も見どころが多い。先ずオクタゴンから約3.5km北東、ノース・イースト・バレー地区にあるボールドウィン・ストリートは、「世界一急な坂道」としてギネスブックに登録されている。その傾斜は最も勾配が大きいところでなんと35度。実際に立ってみると、その急坂の凄さが体感できる。道路沿いの家々はどれも下を斜めに切った形をしており、人も車も喘ぎながら坂道を登って行くよう。坂を下から見上げた時と登った後に見下ろした時、いずれも驚きの景色が広がる。ちなみに、年に一度この坂を舞台にしたロードレース「ボールドウィンの心臓破り」が行われる。
このストリートの手前500mほどにあるシグナル・ヒルは、標高393mの丘。複雑な起伏が多いダニーデンの市街地、細長いオタゴ湾と入り組んだ地形のオタゴ半島などのパノラマが眺望できる。また、ヒルのふもとには、季節の花が美しい植物園が広がる。 街の中心から東へ約12km、車なら20分ほどのオタゴ半島に位置するラーナック城も必見。1873年から1887年にかけて大富豪であり政治家でもあったウィリアム・ラーナックが妻と共に暮らすために建造した。ニュージーランドで唯一現存する城で、豪華な建物と内部に飾ってあるアンティークコレクションが見逃せない。城と手入れが行き届いた庭園は一般開放されており、様々な様式の庭園も見ることができる。ちなみに、このお城はニュージーランドで最も有名な幽霊屋敷の一つとされ、元城主が今も現れるとの噂があるほど。
オクタゴンから南下すること約4km、風光明媚なオタゴ半島の付け根付近に位置する海岸で、ひときわ人目を引く絶景がトンネルビーチ。海に突き出した岩にできた大きな空洞が目に飛び込んでくるが、自然が造り出した造形美に思わず息を呑む。それは長年の潮風と波に削られて形づくられた彫刻作品のよう。潮が引いている時間帯は岩場へ降ることができ、目の前に180度広がる南太平洋の青い水平線が爽快な気分にさせてくれる。
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