こころ旅 「手賀沼版」    吉澤 淳一(会員)
「にっぽん縦断こころ旅」フアンだった私は、11月に他界された火野正平さんを偲んで、晩秋の一日自分なりの「こころ旅」にでかけた。愛車はヤマハの電動アシスト自転車。1回の充電でエコモード90キロ、パワーモード60キロ走れるワイドタイヤのつわもの。コースは手賀沼公園前から反時計回りで手賀沼一周。

スタートしてすぐに「手賀沼ふれあいライン」から別れて、我孫子のいろいろ八景(以下いろいろ八景)「ハケの道八景」の一つ「湧水の小径」を西に走る。この間の「手賀沼ふれあいライン」はいろいろ八景「桜八景」の一つに選ばれているが、今は季節が違うので敢えて静かなハケの道を走った。白山下から斜め後ろに富士見坂を過ぎて坂道八景「船戸の森の坂」を横に見て走っていくと、「湧水の小径」のシンボルである湧水は健在だった。

やがて道は大きく右に曲がると眺望が広がり、その先に金塚古墳の森が見えてくる。ハケの道はそこで終わって、根戸城址通りにぶつかると左折し「手賀沼ふれあいライン」に合流する。
(下の写真は此処から見た金塚古墳の台地)


この道が柏市に入ると「手賀沼白鳥通り」と名前が変わる。「北柏ふるさと公園」内の小径を抜けて再び「手賀沼白鳥通り」に出て、大堀川に掛かる柏ふるさと大橋を渡り、左に下ると今度は柏ふるさと公園に入る。イチョウが金色に色付いていた。(下の写真)


この大堀川を挟んで東が北柏ふるさと公園、西が柏ふるさと公園ということになる。柏ふるさと公園東端には立派な遊歩道と自転車道が作られてあって、此処からは対岸の手賀沼公園まで車道を通らずに快適に走れるのである。やがて北千葉手賀沼導水路の大きな機場が見えてくる。利根川の水を手賀沼南岸の地下に埋設した大きな導水路を通して、ここから手賀沼に放水しているのである。 轟轟と流れるさまが見てとれる。

この辺りからは、歩く人、ジョギングの人、自転車の人が思い思いに行き交う光景が広がる。大津川には釣り人もいてのどかな田園風景である。その大津川に掛かるヒドリ橋の少し手前の小さな緑地で面白いものを見つけた。2匹のウナギが交差している敷石風の平たいオブジェである。最初は何か分からなかったが、頭やひれの部分を見てわかった(下の写真)


大きい方は全長10メートル以上はあったかな。傍らに手賀沼の藤姫伝説の碑があった。

美しい藤姫がある怨念から生んだ大蛇が悪さをしていたが、山伏が念じて大蛇をウナギに化し、悪さも姫の怨念も無くなったと、まあざっとこんなことが書かれていた。ウォーキングや自転車で数回往来していたが、これまでとんと気づかなかった。正平さんが喜びそうな景色と話だ。
右上へ続く
ヒドリ橋を渡って快適な道を東に向かう。今日は風がないのが何よりだが、正平さんも風には随分と難儀していたことを思い出す。ほどなくしてこのコースのオアシス道の駅「しょうなん」に到着して小休止。時々大橋を渡って野菜を買いに来るところだ。

大橋の下をくぐってさらに東へ、私の「こころ旅」は続く。かつてハスの葉が繁茂していた処につくと展望台だけが残されていた。登って見渡すと沼の中央辺りまで占領していたハスが綺麗さっぱり無くなっていて、美しい湖面が蘇っていた。そう、昔はこうだった。(下の写真)


日立の杜
(下の写真)や五本松公園を横目にしつつ快走、はるか遠くに筑波山も。この間右手はずうっと田園でその先は手賀の丘公園がある台地が連なっている。曙橋を渡ればフィッシングセンターへ、曙橋から先は手賀川である。サップという、立って漕ぐ1人乗りボードで水面を行く男女の姿があった。(下の写真)


フィッシングセンターのニジマス釣りは、子ども達が小さなころによくやったものだが、その頃は円形の釣り場もあって、賑やかだったことを覚えている。道の駅で見たパンフレットでは、この辺りを奥手賀と称していたが、なにか違和感が。小さなドッグランやキャンプ場もあるが閑散としていた。



ここから先の遊歩道は、自転車・歩行者の仕切りはないが、通行する人も少なくなる。西の方を見ると微かに新雪の富士山が見える。我孫子高校野球部や少年野球の球場を右に見て、遊歩道は左にカーブしてまた西に向かう。来週行われる庭園公開の日立の杜が間近に見え、紅葉の様もうかがえる。

親水広場の近くまで来たら、うなきちカップマラソンというのをやっていて、沼沿いの道から少し内陸へ迂回して大橋近くまで進んだ。手賀沼公園からこの辺りまでは、いろいろ八景の「水八景」の中心で、昔からよく散策に来たところである。水の館の展望台からの眺望は素晴らしい。「あびこん」も市民の台所でお馴染みだ。

大橋の下をくぐると、新しい遊歩道
(下の写真)はまだ工事中だが、所どころ通行できるようになっていてそこを走った。文学の広場から手賀沼公園近く辺りまでまだ重機が入っているが、完成間近という印象である。待ち遠しい。


こうして約20キロ、穏やかな手賀沼に誘われた私の小さな「手賀沼一周こころ旅」でした。正平さんのご冥福をお祈りします。

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