| (P1からの続き) 本紙でも3年前、街路樹を扱った第114号で東京駅周辺を歩き、敷地や壁面の緑化をリポートしたことがあった。 その頃と比べても最近は、何気ないビルが緑化されている様子を見ることが多くなったし、緑化技術も進化しているように感じられる。 しかしその反面、「緑化」が新たな開発を進める免罪符となってしまうことも少なくない。 筆者の身近な事例としては神宮外苑の再開発がそうだ。計画が認可されてしまえば、住民説明会はあるものの、近隣も含めた外部が意見を差し挟むためには環境を問題とするしかない。 結果「既存樹木を〇本伐採するのに対し、新規に×本植えるので、△%増える」とか、開発容認に関する議論が木の本数や緑の面積に置き換えられて、まかり通ってしまう危うさを強く感じる。 筆者としては、緑地の印象が変わってしまうこと以上に、日曜日や休日ごとに実施されていた子供のための「自転車乗り方教室」など、新国立競技場の建て替え以降、閉業してしまった小さなイベントやコミュニティーの行方が気になっている。
「緑豊かな風格ある景観の創出」(神宮外苑地区まちづくり・東京都整備局)、「TOKYO CROSS PARK」(内幸町1丁目街区開発)、「緑に包まれ、人と人をつなぐ「広場」のような街 - Modern Urban Village -」(麻布台ヒルズ)など、昨今の開発事案では、方針のトップ事項に「緑化」や「生物多様性」を想起させる文言を謳った例が多い。 しかし一方で、人が使うための開発である。商業目的のおしゃれな緑化スポットをつくったところで、利用者層が限定され、既存のコミュニティーの居場所がなくなってしまう様では元も子もないのではないか? ここまで書いてふと、福岡市の緑化は腑に落ちたのに、何故、東京の開発事業に関する緑化には違和感を感じるのだろう?と思った。恐らく緑化に付随した建物の新築化、増床化、高層化が気になるのだろう。 近年、人口減少が進み、リモートワークが推奨されるなか、東京駅周辺を始め、副都心(新宿、渋谷、池袋、大崎など)とされるエリアでも再開発が進んだ。その結果、本紙前号でも紹介した下町の街並と高層マンションが拮抗するアンバランスな景観ができてしまった。 |
「こんなに増やしてオフィスに入るテナントは居るのだろうか?」、「中東での戦争がエネルギーや資材価格に影響するなか、健全な建物運営ができるのか?」、「そもそも環境面でプラスに働くほど「緑化」の効果があるのだろうか?」など、疑問の余地は多い。 そこで「緑化」の現況を体感すべく、次回いくつかの事例を見に行くことにする。 9-3.東海道・山陽新幹線の車窓景観から
話は変わるが、今回の福岡行きでは、東海道・山陽新幹線に乗ってみた。掲載したのは広島駅、徳山駅、小倉駅周辺の景観を撮った車窓からの写真で、最後に東京駅の摩天楼を付けた。 良い写真が無かったので名古屋や京都、大阪は載せてないが、よしんばこれらの都市と比較しても、東京の開発度合いは群を抜いていると感じた。 ただし、開発されているから「魅力ある都市か?」と言えば、それは違う。例えば、広島の写真には、「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」が写っている。その建設に至る道のりや建設費に市民の寄付も含まれる球場の成り立ちを知れば、大企業の資本でなんとなくできた球場より行ってみたい気になる。同様に港湾都市としての徳山(周南市)や、細川家の城下町として発展した小倉(北九州市)の歴史に魅力を感じれば、ツルツルピカピカに開発された東京より行ってみたい場所になるだろう。 「緑化」を通して今回感じているのは、表面的な言葉で飾り立て、残すべき歴史や文化的な資産を壊してしまっているような、都合の良い"環境保全"に対する疑問ではないかと考えている。 (続く) ■もどる |
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