| (P1からの続き) 上諏訪駅の周辺を歩いてみると、かつての繁華街を思わせる街並みが残っているが、シャッターを下ろしたままの店が多い。ただ、そうした中でも頑張っている若いセンスのカフェなどを発見し、少しホッとした。 前項で、諏訪湖と手賀沼の類似点を挙げてみたが、大きく違う点としては、諏訪湖が諏訪大社の信仰と結びついている点だと思う。日本でも最古の神社のひとつとされる諏訪大社は4つの神社から成り、諏訪湖を挟んで上社(前宮・本宮)と下社(春宮・秋宮)がある。そして、その成り立ちには諏訪湖特有の自然現象も盛り込まれていて、有名な「諏訪湖の御神渡り」は、諏訪大社上社(かみしゃ)の男神が下社(しもしゃ)の女神のもとへ通った足跡とする神話も残されている。 あらためて諏訪湖を挟んだこの遠大な祭祀空間が、この地域の文化や自然に与えた影響は強く、1960年代、環境破壊や消費社会に向かおうとしている日本社会の変容に疑問を持った表現者を引き寄せた一因なのではないかとも考えた。 そしておそらく、旧手賀沼を祭祀空間とする強力な信仰があれば、戦後の埋立てもなかったのではないかとも・・・。
10-3.諏訪から越後妻有へ 2月に諏訪で宿泊したのは、75歳のアーティスト、宮坂了作さんにお会いするためだった。 宮坂さんは20代でアメリカに渡り、カリフォルニア芸術大学を卒業する。また、帰国後は諏訪で農業や不動産業を営みながら創作活動を続けられてきた方だ。 その宮坂さんが、新潟県十日町にある越後妻有里山現代美術館MonETで、展覧会を開かれるということで、4月の初旬、現地に伺った。 。 |
新潟県十日町市、津南町にまたがる広大な里山エリアである越後妻有では、20年以上に渡って「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されてきた。 この芸術祭は、アートを用いて、地域における交流人口の増加、情報発信、活性化を目指したものである。そして、十日町エリアの中核施設が、原広司設計の越後妻有里山現代美術館MonETだ。この地域では、建築が恒久作品と位置付けられるとのこと、通常は池、冬は雪原、イベント時には会場にもなる大きな中庭をロの字型の建築が囲む大胆な構成で、原氏設計による前身の施設が2003年に開館した後、同氏の設計で2012年にリニューアルしているらしい。 2003年と言えば、まだ公共事業に寛容な時代だ。久々に元気だった日本の名残を感じさせる良い建築だった。 (続く)
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