ぐるり景観・庭園見聞録
 日立中央研究所庭園公開
国分寺にある日立中央研究所の庭園が、11月13、14日公開されることをインターネットで知り、14日に訪問した。
同所は、JR中央線国分寺駅北口から徒歩5分の至近距離にある。広さが東京ドームの5倍、武蔵野の面影を残す自然環境に恵まれている。公開は春秋の2回。今年で8回目の公開である。
公開のきっかけは、市民の要請を受けた市役所が相談に来た事から。運営は同所で行い、告知は市の広報。2日間で約3000人が訪れると言う。庭園は、湧水を利用した大池を中心とした回遊式で、ケヤキ、サワラなど鬱蒼とした樹林が広がり、池のほとり散策路の傍には十月桜が咲き、訪れた人々の足を止めていた。
庭園は良く手入れされ、中央広場には売店もあって大勢の家族連れがくつろいでいた。

三鷹コミュニテイ・ゾーン見学

景観づくりの一環として、安全で快適なまちづくりは欠かせない。特に道路整備で居住環境の改善を図り成功した三鷹コミュニテイ・ゾーンを見学した。

11月11日、関係団体、行政の方々とともに、三鷹市役所の道路交通課の担当者とのミーテイングの後、改善地区の上連雀二丁目から五丁目のモデル地区を回った。コミュテイ・ゾーンの計画と実行に当たっては入念な調査と、市民と行政の組織のなかでの協議と討論を重ねた結果、平成8年に実施に踏み切ったと言う。

施策としては、「人と車両の共存」を目指し、ゾーン内を通り抜ける車両を排除し、外周幹線道路の交通量を上げる工夫を各所に凝らした。この結果交通事故は大幅に減り、生活環境も良くなりつつある。住民の熱意と行政の惜しまない協力の成果と言えよう。

仙台・オープンガーデンみやぎ見学
個人の庭を一定期間一般の人々に公開すると言う方式<オープン・ガーデン>を展開している仙台市「オープンガーデンみやぎ」の事務局を、9月30日に訪ねた。

泉区にある前会長邸の見事な庭園を散策後、会員宅で理事の方々からレクチュアを受けた後質疑、車でそれぞれ特色のある会員宅の庭園を2個所案内していただいた。
現在会員は260名、企業会員は36社。理事は花好き女性14名、会費は年間3500円、会報「オープンカフェ」(年4 〜6回)を発行。公開は50軒、そのうち市内の庭が8割。バスツアーも実施している。

「庭から街並へ」と言う明確なコンセプトをもち、花と人の輪を広げ、都市景観におおきな役割を果たしつつあるオープンガーデンの活動に学ぶことは多かった。
横浜・山手234番館、BankART訪問

行政と市民が一帯となって地域の文化財を有効に活用し、文化の向上と景観づくりを図る好例として、横浜市の山手234番館と、馬車道駅上にあるBank ART1929(旧第一銀行建物)を、1月24日訪問した。山手234番館は、元町公園の一角にあり、横浜市が1989年に取得、歴史的建造物として庭園もふくめ景観的にも魅力ある建物となっている。館内ではちょうどイタリヤアルプス写真展が開催中で、これから種々の展示、イべントが目白押しとのことである。運営は、財団法人横浜市緑の協会のもと、ボランティア団体等により組織された運営委員会があたっているとのことである。

BankART1929は、みなとみらい線馬車道駅上にあり、市の委託を受けたアートNPO団体「STスポット横浜」が運営。訪問のおり芸大卒業制作展が開催中で、かなりの人出で賑わっていた。係の方のお話からも文化芸術創造都市のコアとしての意気込みがかんじられた。

横浜・長屋門公園見学
自然景観を保全し、そこを拠点として歴史体験活動を進めている横浜市瀬谷区の長屋門公園を、11月6日に訪ねた。同公園は自然ゾーンと歴史体験ゾーンに分かれており、前者は横浜市の所管であるが、後者はその運営を自治会や商工会で組織されている運営委員会に任されている。

歴史体験ゾーンは、大きな長屋門と他から移築した農家の母屋それを囲んだ 広い庭から成り立っている。母屋が会場となり、能や落語、昔語りがなどの催し物を開催、広場では、子供たちを対象に竹馬など伝承的な遊びを提供している。

それらの企画と実施は事務局長の清水靖枝さんとスッタフの3人、それとボランテイアの方々。皆さんはそれぞれの役割を自覚し、自発的に活発に活動されているとのことでした。運営のあり方に有益な示唆をえた1日であった。

久留里城址公園石碑見学
事の発端は、千葉県君津市久留里のNPO法人が、「詩歌の森事業」として市と協力して久留里城址公園に公募して11基の石碑を建てた。これが歴史的景観を損ねるとの批判がでて移転を余儀なくされた、という記事が新聞に載ったことからである。

「負の景観」としては興味ある事例であるので、10月28日見学した。久留里は「城と生きた水の里」と観光ガイドに紹介されている。現地にいってみると石碑11基は、城址近辺の3個所にそれぞれ建てられており、その内容はご当地に関係のない詩文、短歌、俳句で、なかには職業をも記した宣伝臭のある碑もあった。どうみても首をひねらざるを得ない状景であった。

さて我孫子はどうかなど、他山の石として考えながら帰途についたが、それはそれとして、久留里城天守閣からみた美しい城下町と、重畳と続く安房の山並みの景観にすつかり魅せられてしまった1日でもあった。

八日市場市・平山邸他庭園の公開
八日市場市飯高地区安久山にある平山邸がNGSジャパンの協力で庭園公開を実施する事を知り、11月28日に訪ねた。同邸は庭園にある大シイの木が市の天然記念物として指定されていることで知られている。

公開は、その古木を中心に、これも明治19年建築の母屋、離れ、作業場とそれを囲むようにして広がる庭園と、裏側に展開している谷津田を含んでいる。告知は市の広報とインターネット。2日間で200人くらい来られるとのこと。
公開時は、家族と駐車係として友人の応援を得ている。受付にはNGS派遣の女性がいて入園料500円の受領、資料の手渡しをテキパキとおこなっていた。

コースとしては自然景観の谷津田と近隣2軒の庭園公開がある。「公開は家族と友人だけでやっており、止めようと思えばいつでも止められのがメリットですね。」と公開を楽しんでいる肩肘はらない。

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