三樹会だより 第3号
 
〈三樹会 発足1周年記念特集〉
2005年3月22日に三樹会が発足して、早いもので満1年になりました。

同年1月の「第8回我孫子市景観賞表彰式」の講演「景観をつくる人,こわす人」で、三樹荘現当主、郷土史家で歌人の村山正八(号 村山祥峰)先生が語った、椎や欅などの古木の手入れや、落葉の清掃のご苦労話に触れたことが、この会発足のきっかけでした。

明治44年、嘉納治五郎がこの地に別荘を建て、翌年隣接の地に姪の柳直枝子にも別荘を構えさせました。その後直枝子の弟で民芸運動の父と呼ばれ、また白樺派文人たちを我孫子に呼んだ柳宗悦の居宅となったこの「三樹荘」には、現在でも訪れる人が少なくないのです。(事前の了解が必要)

先生は、そういう来訪者を快く庭内に招じ入れ、見学に供していますが、ご本人ご家族もご高齢で、前述の樹木の手入れや清掃もままならなくなっていることから、私ども有志が集まり清掃ボランティア「三樹会」を立ち上げたのでした。

清掃は、天神坂と坂上に続く市道及び庭内古墳周りなどで、この1年間で40回、延べ300人が活動してきました。清掃が終わって、庭内のあずまや「安寿奈呂亭」の囲炉裏を囲み、お茶とお菓子をいただきながら、気さくな先生の、万葉の恋物語、3本の御神木、此処に住み暮らした人々、此処を訪れた人々、などのお話を伺うのが、会員同士の談笑と合わせて、何よりの楽しみとなってきました。その間8月には、講演「三樹荘今昔」のなかで楽しいお話を伺い、又12月には村山家による「芋煮会」を催していただき、充実した1年を過ごしてきました。

●天神坂の清掃作業
今では、当初18人の会員が、女性9人男性14人合わせて23人に増えました。お世話役の瀬戸さんのソフトな段取りで、出来るときに出来る人が、"細く長く"をモットーに楽しんでいます。(吉澤淳一)
三樹荘と三樹会

三樹荘主 村山 祥峰
 年間千人以上の来観者のために、何時も庭園を奇麗にして置くことは、家族だけでは至難のことでしたが、昨年三月から、ボランティアの団体「三樹会」が結成され、会長の吉澤氏を始め役・会員の努力の結果、四季を通じて、天神坂を始め巨木の繁る邸内まで、掃(はゝき)の愛の手が伸びて、来観者の人々から感謝されて居ります。樹木の生理作用に悩まされてゐた家族も、生活に大きな安らぎと三樹荘を維持して行く決心を固めて居ります。
 三樹会の永続と、会員諸氏に智財寿の幸(さち)を与へられる事を念じながら閣筆させて頂きます。
                                    平成十八年三月

●あずまやの囲炉裏で談笑のひととき
村山先生が、三樹会を詠んだ短歌二首
(せせらぎ短歌会合同歌集第八集より)

新しく結成したる三樹会
   景観はぐくむ生命真心

降る如く常緑樹の嵐
   三樹会の箒の目真心の手の跡
会員からひとこと
今年は例年にない大寒波に襲われましたが、ようやく春の息吹きがそこここに漂うようになりました。三樹会もまた忙しくなります。皆様にお目にかかるのが楽しみです。(浅野純子)

世話人とせせらぎ短歌掲示板脇の語らい三樹会のこと
秀歌愛で直筆短冊雅印押す真卆ニかふれあい塾の師は
塾が退け手賀の道行く我が先にせせらぎの歌に見入る世話人
平成十八年三月二十三日(足助哲郎)
 
冬の間は体調がすぐれず休んでいましたが、暖かくなりましたので、4月からまた復帰します。村山先生や会員の皆様にお会いできるのを楽しみにしています。(伊藤禮子)

三樹荘には英知、財宝、長寿と名づけられた椎の巨木があります。清掃作業で一汗のあと、知と財はさておき、「長寿」の幹を撫でながら健康を念じています(井上弘治)

私には初めてのボランティア体験です。森の中にいるような心地よさと、作業後にいろりを囲んでお茶をいただき、談笑の中に新しい世界がひらけました。(柏原健子)

5月6月は落葉のシーズンということに驚きました。いいたい肥になると思っていたら農家の人が貰いにくるのだそうです。私も趣味で畑を作っているので欲しくなります。(木幡勉)

3月29日の初回から参加して1年が過ぎました。今では三樹荘での清掃日は私の月間計画に当り前のようになっています。これからもなが〜く続けたいですね。(黒木昌司)

三樹荘の庭を掃いていると〈林間煖酒焼紅葉、石上題詩掃緑苔〉白楽天の気分になりそうな雰囲気です。少しキザかな?昨年11月入会の財前です。よろしく。(財前重信)

「清掃のあとお茶を頂きながらお話会、面白いわよ」と誘われ新緑の6月に入会しました。日頃あじわえない三樹荘ならではの季節を感じ、無心に掃いています。(桜庭輝子)

皆さんいつも楽しそうに掃いていらっしゃるが、三樹荘と天神坂の美観を守っていこうという強い意志が奥に感じられ、私も元気づけられます。これからもよろしく。(瀬戸勝)

三樹荘の清掃活動を始めて1年、椎の巨木の落葉の多さに驚きましたが、そのあと村山先生の軽妙なユーモア溢れるお話にいつも心がほぐれます。これからも楽しく続けたいですね。(大師堂寛)

 はじめは、少しでもお手伝いできればとの思いで参加させて頂きましたが、時には「あすなろ亭」でのお茶の方が長かったり、楽しいひとときを過ごさせて頂き有り難うございます。(大師堂正子)

三樹会活動の趣旨に大いに共感し参加しました。町内会で多忙の身ですが三樹荘清掃日を第一に優先させて予定を組んでいます。清掃後先生を囲んでの談笑はまさに至福です。
(高西忠司)
三樹荘に機縁を得て、森・水辺・古人(いにしえびと)の古代我孫子、文人墨客に愛された我孫子を先生に教えて頂き、そこに住む者として昔のロマンを偲び誇りにしたいと思っています。(高橋照子)

四季いろいろな顔を見せる三樹荘と天神坂。豊かな緑を守る大変さを感じつつ、笑顔で箒を手にする我々が、降り注ぐ緑のシャワーで身も心もリフレッシュする一年でした。 (瀧澤正一)

皆さんにご迷惑をかけながらも1年間気持ちよく続けることが出来ましたのは、三樹の木陰のお陰です。特に夏場は存在感が絶大で改めて樹木の偉大さを感じました。(塚本泰弘)

本町にいながら我孫子にこんな素晴らしいところがあるのを知りませんでした。新緑よし、紅葉よし、村山先生のお話さらによし、この活動をいつまでも続けたいと思っています。(寺尾多津枝)

我孫子の景観を美しくしたいという「思想の種」が三樹会という「行動」を促し1年間継続した。継続という「習慣」は「人格」を創る。今ここに集う人々の「心」は輝いている。(富樫道廣)

三樹荘に憧れて今春入会させて頂きました。若き日に読み耽り、遠い存在だった文豪たちの気配が感じられる緑深いこの地の清掃にかかわれ嬉しく思います。(中野綾子)

我孫子も近年自然破壊が進み、桜の巨木が切られたり,高層マンションがたち並んだり・・・。三樹荘の景観だけは守り抜こうという気持ちで清掃に励んでいます。(八田弘子)

天神坂の枯葉を巻き上げる風、「あすなろ亭」の囲炉裏の煙を回す風,椎の巨葉を吹き抜ける風、そして先生ご一家と会員に吹く和やかな風、一汗のあとの悠久のひととき。(山田一郎)

日立研修所の庭園公開サポーターとなったご縁から三樹荘の清掃に参加することになりました。清掃後の村山先生をはじめ会員の皆様との懇談は楽しいひとときです。(湯原清)

春、椎の落葉の重さに驚き、夏には涼風が火照りを冷ます。秋、椎の実が落ちると囲炉裏に火が入り、冬には芋煮を仲間と囲む。今また春が。村山家に感謝。(吉澤淳一)

■もどる