我孫子の景観を育てる会 | 第21号 2007.1.20発行 |
成田の電線類の地下化 富樫 道広(会員) | |||||
眺める側であり眺められる側でもある ●成田山新勝寺の山門からJR成田駅までの参道が、電柱を排除して電線類の地下化が実行されて5年になる。最近成田の参道を歩いてみると昔とは全く違った感じがするようになった。リラックスした外国人旅行者も多い。商店の看板も、ファサードも変わって、これまでの日本の門前町とは思えない。これひとえに電線類の地下化によって再現された近代日本の都市景観の創造と賞賛してやりたいのである。
●米屋本店を過ぎて、柳屋を右に曲がると参道は坂になる。見上げる空は青く、広い。左手には見たこともなかった大野屋のやぐらがそびえ、正面には光輪閣や本堂の屋根、奥には成田山大塔までが見える。これまではくもの巣のような電線で見えなかったのだろうか。それとも見上げる気にもならなかったのかも知れない。 ●学校の後輩のやっているゼミの学生が、修士論文に成田の電線類の地下化を取り上げることを知らされたのは数年まえのことである。我孫子も同時にやったらと相談を受けたことがある。受益者利益をどう負担するかという問題だった。この研究がどれほど役にたったのかを調べてみたくなり市役所の再開発課で話を聞いてみた。熱く強調されたのは、そのような学術的な研究よりも、地域住民の「根気」と「熱気」であったことを知らされた。そこで当の「上町街づくり協議会」の会長さんを直撃することにした。古くから八目うなぎで有名な「下田康生堂」の当主、下田祥三さんである。話を聞いてみると、電線類の地下化が目的の協議会ではなかった。話は30年前にさかのぼる。大学を卒業して地元に帰った会長さん、商店会の会合に出てみると、顔ぶれは60〜70代の旦那衆ばかり。何か新しいことを提案しても「このままでヨカッペヨー!!」と一蹴されてしまう。時は空港が出来て、(1978年、昭53)成田は国から国際観光モデル地区の指定を受ける。それでも百年前の商店街はビクともしなかった。若手が中心になって勉強会を開き、招いた講師の先生は百人を下らない。日本一の成田山を擁するこの参道をこのままにしては申し訳ないという気持ちが若手の商店の担い手にみなぎってきたのは当然の成り行きだった。そんな時、幸か不幸か商店会の世代交代の時がやってきた。これまでの70代の会長から一挙に40代にまでかけおりてきたのである。そこで意気込みは爆発。これまでの勉強会での蓄積が実現へと向かっていった。これまでの講師の先生がたが誰もが言っていた狭すぎる参道をなんとかしなければという問題である。 ●事実、お参りしたあとのお客は、大きな買い物袋をバスや自動車にぶっつけながら通っていく。危険極まりない。交通規制でクルマをとめるか、しかし、道路法では一度通したクルマを締め出すことは難しい。それならセットバックして歩道を造り電線類を地下に埋めて幅員を広げる計画をして皆に合意を求めた。 |
●商店会といっても5人、10人の集まりではない。延々1キロに及ぶ参道である。2メートルのセットバックを市役所が買い取るまでの道のりは長かったという。予算の捻出を渋る役人は、それほどまでに実現したいのなら市会議員に立候補しなさいとまで言われる。そんな時、力になるのは同士である。隣で衣類の店をでしている、「徳利やさん」は幼稚園からの同級生、大学こそ違うが成田に帰って親の商売を継ぎ、隣同士。当然意気は合った。古いものは残そう。それに磨きをかけて・・・と励ましあった。 ●電線類は多くの会社が絡み合う。電力、電話、ケーブルテレビなどの有線放送がそれだ。これまでの実績からすると、1キロ当たり10億で、その半分が関係会社が負担する「キャブシステム」であったが、成田の場合は電線共同溝法による、「C.C.Box法」という負担の少ない方式でも関係会社の出費は4億を超えている。 これだけの協力があった裏には、まちづくり協議会の並々ならぬ企業側への働きかけと同時に、行政側との協同による推進力があったことを熱く会長は話してくれた。特に市長や、東電の支社長の交代が大きな転機にもなったという。 ●下田会長によれば、まちづくりはどうしても必要な4人が集まれば出来るという。それは、バカモノ。ガンコモノ。ヨソモノ。そして、アイデアマンが必要だという。あとは要らないと・・・・・ ●美しくなった参道には石造りの12支の像が並ぶ。 子、丑、寅、卯・・・・と、お参りに来るお客様が1年無事に過ごしてもらう祈りと、クルマよけになると置いたものだそうだ。かなりの費用がかかったのだろうと聞くと・・・百万円と・・・。12固体で・・安いデスネー・・いうと、それは中国ヨ。ということだった。運賃込みでの価格は見上げたもの。努力すれば知恵もわくということだろう。
●見違える街並みに新しい参入もあると思うがと聞けば、商売変えをしてるのが多いとか。釣竿屋やになったのもある。 へそ曲がりで意地をはって協力しなかった店もだんだんなびいてきた。セットバックして改装中の店舗にもであった。 ●成田市には景観条例はない。しかし参道だけは、「まちづくり協議会」が行政に建築申請を出す前に審査をする仕組みを創った。工事が始まる前に街の人はどんな店が出来るのかを知っている。壁のいろ、ファサードの形もみな知っているのである。羨ましい話だった。 なおこの成田市の表参道は、平成17年度の国土交通省、都市景観大賞「美しいまちなみ優秀賞」を受賞した。 |
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日立総合経営研修所「秋の庭園公開」開催 2006・12・2(土) | 旧村川別荘展開催のお知らせ 2007年1月〜3月 |
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●2,3日ぐずぐずした天気でしたが、当日は好天に恵まれ、美しい紅葉を満喫できました。入場者は850人を数えました。この催しは今回で第9回になりましたが、入場者の28%が市外の方で、この催しが広く知られるようになりました。また、多数のサポータとボランティアの方々のご協力で、実施できました。 なお、2007年の日立総合経営研修所「春の庭園公開」は、園内改修のため中止になります。
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●湖北台近隣センター 1月15日(月)〜1月29日(月) 久寺家近隣センター 2月13日(火)〜2月25日(日) 根戸近隣センター 2月26日〈月〉〜3月12日〈月〉 ※新木近隣センター、布佐南近隣センター、近隣センターこもれび、市民プラザは終了しました。 ●かつて、我孫子にも数多くの別荘があったが、当時の姿ままで残された旧村川別荘を見学できます。詳しい説明パネルと常駐のボランティアガイドさんによって、楽しく見学できます。 旧村川別荘 我孫子市寿2丁目27番9号 開園時間 9時〜4時 月・火曜日は休館です。 問い合せ-7185-1583 我孫子市教育委員会文化課 村川堅太郎生誕100年「記念シンポジウム」が、4月15日アビスタホールにて開催されます。 |
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