我孫子の景観を育てる会 第22号 2007.4.21発行
布佐平和台「住まいのまちなみ賞」受賞      岡 規子〈会員〉
住宅生産振興財団・まちづくり月間実行委員会が主催し、国土交通省が後援する第2回「住まいのまちなみコンクール」に応募していた布佐平和台は、書類審査及び昨年10月の審査員方による現地実査の結果、町田市三輪緑山住宅・横浜市山手・守谷市オーナーズコート・北海道石狩スウェーデンヒルズと共に受賞が決まりました。

このコンクールは、「地域の人々の住環境の維持管理によって良好なまちなみを形成している地区・団体を表彰、支援する」ことを目的としたもので、受賞した5団体には表彰と同時に毎年50万円が3年間支援されるものです。

布佐平和台は平和不動産が昭和52年に良好な住環境を維持のために建築協定を伴った分譲を開始した1340戸の住宅地です。昭和54年には自治会も発足し協定に基づいたまちなみ維持に努め、これまでにも「緑と町並みの景観維持」で県知事や建設大臣の感謝状や我孫子市の第1回景観奨励賞を受賞してきました。

しかし分譲時期により20年間の建築協定の期限切れが迫る地区が生じ、放置しておくと集合住宅の建築や宅地の細分割等、住環境の変容の恐れが出てくる事態となり、協定の更新を自分たちの手で実施しなければならなくなりました。更新には、原則全員の賛同が必要ですから長期にわたることが予想され、任期1年の自治会役員だけでは対応は難しいと判断し、住民からの公募による協力者を含めた協定対策委員会を設立し行動を開始しました。

更新のための同意書は「実印・自署による印鑑証明付き」とし、不在地主や海外居住者を含め全員の同意書取得を目指し活動を開始しました。現在住んでいる人には説明会や説明訪問、全国に散在する不在地主と海外居住者への書類送付と電話説明等、数多くの難関をクリアして97%の同意書を得ることができ、平成17年7月に「有効期間10年+10年以降自動継続」を条件とした更新が認可されました。

併せて、ばらつきのあった緑地協定も一本化し、平成17年12月に「有効期間30年」の許可を得て、建築協定と併せて住環境作りに寄与しています。

自治会では協定更新を機会に、対策委員及び自治会役員として積極的に協力された方々で審査諮問委員会を組織し、新築・増改築の際の建築確認の事前チェックを行う等、住環境の一層の整備に努力しています。

最近のことで、日本でも屈指の高級住宅街である兵庫県芦屋市六麓荘町が自主協定では住宅街を維持することが難しくなり、市の条例で「土地は400平方メートル以下に細分割しない、1戸建しか新築できない」ことを決めました。252世帯しかない住宅街が自分たちの力だけでは維持できなくなった例です。布佐平和台は高級住宅地ではありませんが、平均200平方メートルの土地を所有した総面積55.7ヘクタール、1340戸の大型住宅地です。住人が力を合わせて「住環境は自分達で守る」と協定を更新したことは全国でも珍しい例ではないかと思います。これからも2つの協定を生かしながら、住宅都市我孫子のモデル地区となるように、知恵と努力で心豊かに暮らせる街づくりを目指しています。

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