第5回我孫子の歴史景観散策会−中里・古戸を歩く                     佐々木 哲明(会員)
3月7日(土)に第5回歴史景観散策会が開催されました。
まだ冷たい風がやや強いものの天気にも恵まれて、湖北駅北口広場から散策はスタートして中里に向かいました。湖北随一の大地主であった星野家の長屋門を眺めて、東京帝国大学教授から湖北村村長を務められた中野治房氏の邸内に立ち寄らせてもらいました。椎や榎の大樹に囲まれてどっしりと建つ明治初期建築の母屋、蔵、四足門に旧家の風格が感じられます。

椿の垣根に挟まれた小道を抜けていくと、小さな祠の中で片手に鯖を持ったお地蔵様に行き当たりました。弘法大師と鯖にまつわる逸話は各地に残されているようですが、湖北の地にも鯖大師の石像がありました。その祠の向かいには、我孫子市の保全樹木になっている椎の古木がありました。国道356号線に出てしばらく歩くと湖北支所前バス停のところに中里一里塚があります。我孫子市内に現存するただ2つの一里塚のうちの一つで、歴史的にも貴重なものだそうです。

湖北中学校の脇を通ってしばらく行くと、湖北七つ井戸の一つといわれる桜井戸があり、ここでしばしの休息。しめ縄などが張られていていかにも由緒ありげです。きっとその昔は、貴重な飲み水として重宝されていたのでしょう。坂を少し上り天満宮を目指します。「梅の里」を歩くのが今回のキャッチフレーズでしたので、梅ならやはり天満宮かと期待しましたが、予想以上にこじんまりした境内の天満宮に暖冬の名残の梅がちらほら。天満宮というと受験生で大混雑というイメージですが、こんな天満宮なら個別のお願いもじっくりと聴いていただけそうだと思える静かなお社でした。

天満宮から、水田地帯に向かって坂を下っていくと、渡船場の跡という広々とした景色の場所に出ます。我孫子に住んでいてもなかなか見る機会のない風景で、利根川がゆったりと流れている景色も容易に想像できます。日本最大の流域面積を持つといわれる利根川ですが、この川ほど、江戸時代から現在に至るまで、幾多の治水工事を身に受けてその姿や流れ下る方向まで変えられた川も他には例はないのではないかなあという感慨も浮かんできました。



さて、いよいよ歴史景観散策会も後半を迎え、クライマックスの大久保の「タイムトンネル」にさしかかります。どんなガイドブックにも載っていない散策会秘蔵のスポットというところで、薄暗くまさにトンネル状に樹木に囲まれた緩やかな坂道です。その坂道の先に、ぽっかりと光を集める出口が見えます。密かに命名した人は、歴史上の遺跡が散在する地域にできた過去から未来への歴史のタイムトンネルというイメージであったのでしょうが、これから歩いていく人生の晩年には何があるのだろうかとふと想像してみたのは私だけだったでしょうか。

その後、初春の花々を楽しみながら、龍泉寺に立ち寄って湖北駅に戻り、行程約6キロ、ゆっくり歩いて3時間の散策を楽しみました。

また、今回の散策会には、初めてJ:COMと地域新聞の2社の記者が取材同行し、J:COMでは1週間にわたって取材ビデオ放映が行われました。

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編集後記
緑がますます濃さを増してきました。散歩に最適な季節です。たまには「五 七 五」と指を折りながら、我孫子の自然の中を歩いてみようかなと思っています。
次号は7月になります。皆様方ひとりひとりの「我孫子」をお教えください。楽しみに待っています。(蒲原)

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