講演会レポート 2007年4月15日(日) アビスタ 1階ホール
村川堅固別荘90周年、堅太郎生誕100年記念
村川堅固・堅太郎を語る
〜手賀沼を愛した西洋史学者の生涯と別荘〜
当日は、定員150名を大幅に超える来場者があり、旧村川別荘への市民の関心の高さがうかがえ、大盛況裡に催された。講演会は、当会今川さんの司会で、教育委員会文化課辻さんによる「旧村川別荘90年の歩み」の紹介(パワーポイント)で始まった。
前半は、東京大学名誉教授(日本学士院会員)伊藤貞夫氏による、村川堅太郎氏の西洋史学における数々の功績とその研究哲学、後進育成等の紹介を中心としたアカデミックなお話しで、あたかもゼミを受けているような雰囲気に浸れた。さらに堅太郎氏の自然観にも触れられていて、興味深いものがあった。天皇、皇后両陛下へのご進講の際は如何にと、皆さんそちらの方へも思いが馳せたのではないでしょうか。  
後半は、村川堅太郎氏のご息女、夏子さんによる祖父堅固、父堅太郎氏の生き方や住まい観、若き日の洋行の影響などについて、当時の映像を交えてのお話であった。中でも堅固氏の住まい観「住食衣主義」は、目白台のご自宅(平成10年、国の有形登録文化財)、藤沢市鵠沼(現在は公園)や我孫子の別荘に体現されているというお話も披露されていた。

 聴衆の皆さんは、この講演によって、旧村川別荘に対してさらに関心を深めたことでしょう。

■開催ごあいさつ(当会の取組みご紹介)
・講師の伊藤貞夫先生(東京大学名誉教授) ・入場整理券は早くから札止めで、補助席も出す盛況。
・村川別荘文化へ市民の関心の高さが感じられました。 ・伊藤先生と、村川夏子さん(村川堅太郎長女)
・(左)講演をする村川夏子さん。


村川堅固(大正4年)

村川堅太郎(昭和58年)

村川別荘(我孫子市寿2-27-9)
講演会: 2007年4月15日(日)13:00〜16:00   アビスタ ホール
講師: 伊藤貞夫氏(東京大学名誉教授・日本学士院会員)
村川夏子氏(村川堅太郎長女)
入場無料 (4月1日からアビスタ2階事務室で整理券配布します)
展示: 「旧村川別荘の90年」 4/9〜4/20 アビスタ ストリート
主催: 我孫子市教育委員会/我孫子の景観を育てる会/あびこ楽校協議会
協力: NPO法人ふれあい塾あびこ/我孫子の文化を守る会/あびこガイドクラブ
問合せ先: 我孫子市教育委員会文化課 歴史文化財担当 電話 04-7185-1583
■村川別荘について
「…その歴史家が愛したのは、美しい手賀沼だった…」
・改修前の新館 ・新館から沼側を眺める(現在)
・松越しに手賀沼を眺める ・ボランティアガイドの勉強会
・沼側より母屋を眺める ・ボランティアガイドの活動
■開催趣旨
美しい手賀沼を見下ろす丘の上には、東京から至便であったこともあって、大正の頃から文人墨客の別荘が数多く設けられました。そのほとんどが時代の流れとともに消え去ってしまった今でも、西洋史学者である村川堅固、堅太郎の親子二代に亘る別荘は、寿二丁目に変わりなく佇んでいます。奇しくも2007年は、堅固が別荘を設けて90周年、堅太郎生誕100年という節目の年に あたります。また、2006年から「旧村川別荘市民ガイド」が始動し、市民と市が一体となって別荘を守り活用していこうという動きが盛んになっています。

このような中で、我孫子の景観を育てる会と我孫子市教育委員会では、旧村川別荘について多くの方々により知ってもらおうと、パネル展示を市内各所で展開してきましたが、今回、生涯学習フェスティバルにあわせて講演会を企画しました。西洋史学会を代表して、村川堅太郎に直接教えを受けた伊藤貞夫東大名誉教授(日本学士院会員)、村川堅太郎の御息女、村川夏子氏の両氏によるご講演と、村川別荘にまつわるさまざまな取り組みについて御紹介します。また同時にパネル展示「旧村川別荘の90年」を開催いたします。
■講師プロフィール
伊藤貞夫氏…東京大学名誉教授・放送大学名誉教授・日本学士院会員
東京大学で村川堅太郎氏に師事。専門は古代ギリシャ史。今年1月の「講書始の儀」において天皇皇后両陛下に「古代ギリシャの家と社会」についてご進講された。

村川夏子氏…村川堅太郎氏長女。関東登録文化財所有者の会会員
『我孫子市史』近現代篇において「村川別荘の七十余年」を執筆。
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