第17回 日立総合経営研修所庭園公開 開催
日時:2011年5月21日(土) 10:00〜16:00(入場受付は15:00まで)
会場:日立総合経営研修所(我孫子市高野山)
参加費:100円(小学生以下無料) ※事前申し込み不要
    今回の参加費は、我孫子市及び我孫子市社会福祉協議会を通じて、
        全額を東日本大震災の義援金として使わせていただきました。
主催:我孫子の景観を育てる会  後援:我孫子市 
協力:(株)日立総合経営研修所 (株)日京クリエイト
受付風景 義捐金の表示
・受付風景 ・義捐金の表示
第17回日立総合経営研修所「春の庭園公開」は、好天に恵まれて、来場者に薫風と新緑を、たっぷりと楽しんでいただきました。来場者は930人で、春の公開の平均的な人出でした。

茶亭の「ほととぎす」が家屋内部の損傷のため、茶菓のサービスをコカリナ演奏の「藤の庭」の緑陰に移して実施しましたが、これが大変好評でした。名物の「白樺派のカレー」や食堂中庭でのティータイムも好評でした。
「ほととぎす」からの手賀沼. 新緑を行く
・「ほととぎす」からの手賀沼. ・新緑を行く
星野市長にもご来園いただき、「白樺派のカレー」を召し上がってから、園内散策のひと時を過ごされました。

来場者にはこんなお楽しみも提供しました。手鏡を眼の下に持ってきて、これで高い樹木を見たり、手賀沼を後ろにして立って、手鏡をかざしてそこに映る沼の表情を楽しむのです。
18世紀のイギリスの湖水地方で流行った景色の鑑賞法で、フランスの風景画家の名前からこの鏡を「クロードグラス」といいます。星野市長も観月亭の近くで試していました。
※「クロードグラス」については下段を参照
庭内に生息する鳥や動物たちの写真展示 コカリナに聴き入る
・庭内に生息する鳥や動物たちの写真展示 ・コカリナに聴き入る
クロードグラスを楽しむ
・クロードグラスを楽しむ
来場者のお住い地域は、これまでは平均して市内70%、市外30%でしたが、今回初めて市外からの来場者が40%になりました。お隣の柏市からは18%でした。回を重ねるごとに、この催しの知名度と期待度が高まってきていることを感じます。いろいろなメディアでの告知記事の効果も大きいでしょう。嬉しいことです。

・素晴らしい庭園景観を公開していただきました(株)日立総合経営研修所、(株)日京クリエイトの皆様に深く感謝申しあげます。
・コカリナ演奏の皆様、ボランティアの皆様、資材貸与の我孫子市にお礼申し上げます。
・運営は当会会員、三樹会・庭園公開サポーターの約40名で行いました。
(吉澤淳一)
■日立研修所の場所、今回のお知らせへ
【ご来場者からのひとこと】(アンケートより抜粋)
ざわー、ざわーと風を聞いていると、きっとこの下まで海だったのかしらと思わされます。薫風の日にこられて幸せです。
市街地に、こんな広大な自然を涵養している場所はほとんどないと思います。今後も自然を守る活動よろしくお願いします。
我孫子の緑がなくなるのをさびしく思っていましたが、こんなに守られている森林があるなんてと、うれしい気持ちで数時間過ごしました。
緑がきらきらして気持ちのよい庭園でした。説明してくださる方がいて、ただ見るだけよりずっとよかったです。お茶とお菓子まであってうれしかった。(コカリナの)コンサートを聞きながらゆっくり休めて、気持ちがリフレッシュできました。
(コカリナの)きれいな音楽よかったです。(9歳の息子)
年によって木々の景色が違うのを感じました。エゴノキ、オガタマの花が可愛かったです。竹がいつもより茶色く気候によって様々な顔が見られてよかった。
気持ちよく散策でき、樹木も多く、名札がついているのも嬉しいことでした。
ボランティアの方も親切で好感が持てます。(多数)
庭園のみどりと手賀沼がとても美しいこともありますが、ボランティアの方がとても親切なのが印象的でした。
鏡で見た景色が今までと違って、とてもすてきに見えました。
「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」はじめて知りました。
貴重な自然が保存されているのに感謝したい。
素晴らしい庭園と研修建屋に天下の日立の品位を感じました。天下の恥じない日立の発展を祈ります。
白樺カレーおいしかったです。前回売り切れで今回は早く来てたべました。
今日本中が大変な時と思いつつ、ひと時のゆったりとした気持ちを味わうことが出来ました。
クロードグラス
  イギリスで18世紀頃、風景を鑑賞する流行があり、上流階級の人達が、美しい風景を求めて旅行しましたが、平地が多いイギリスでは絵になる風景(『ピクチャレス』と言いましたが)が少なく、日常の風景の一部を切り取って鑑賞しました。そのための道具が『クロードグラス』です。クロード(・ロラン)はフランスの名高い風景画家でした。
  使い方は、風景に背を向けて、鏡に映して美しいところを切り取って鑑賞します。

  数年前、旧村川別荘市民ガイドの研修で、アウトドアの楽しみ方というカリキュラムがありました。インストラクターの方が、ポケットから小さな鏡を取り出して、それを目のすぐ下に持ってきて、その鏡に頭上の木々を映し出して、「こういう風景の楽しみ方があるのですよ」と教えてくれました。やってみると、青空をバックにした木々が、手元の鏡に逆さまに凝縮されて、手に取るように映し出されていました。

  これを庭園公開で、来場者に勧めてみたら思った以上に好評で、要所々々のスタッフが使い方を説明して、「風景の切り取り」という新感覚の景観を、楽しんでもらうようになりました。
ある時、手賀沼のビュースポット「ほととぎす」の前庭で、車椅子の方々が垣根のために手賀沼を見られないということがありました。気の毒に思ったスタッフが機転で、沼を背にするように車椅子を置いて、前方上方に鏡をセットし、後ろ向きに垣根越しの手賀沼を眺めてもらいましたらこれもまた好評でした。こちらの方がクロードグラスの本当の使い方に近いですね。(その後日立さんが、ここに車イス用のミニ展望台を設置してくれました。)

  鏡を通して、自分だけの「切り取った風景」をささやかに楽しんでいたら、それが実は18世紀後半のイギリスの湖水地方で流行していたとは。この話を教えてくれた来場者は、その後当会に入会されて、今春の庭園公開ではスタッフとして、観月亭や「ほととぎす」の前で、熱心に説明をして喜ばれていました。

  当時の鏡はやや凸面の鏡で実物が大英博物館に陳列されているといいます。フランス語から翻訳された「クロードグラス」という研究書もありました。
これからも、この我孫子版クロードグラスの「切り取った風景」も加えて、庭園公開をさらに楽しいものしていきましょう。
※クロードグラスについては、ウエブサイトでいろいろな角度から紹介されています。
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