(新シリーズ) 庭園の四季 −1−
  我孫子市指定文化財「杉村楚人冠記念館」と「旧村川別荘」は、それぞれ美しい庭園を持っている。四季折々変化するその庭園景観を、多くの人々に鑑賞してもらうために、新シリーズ「庭園の四季」を紹介していく。第1回は、杉村楚人冠邸園の春。
                杉村楚人冠邸園の春             深山 まさ江 武田 祐子 (会員:齋藤さんの友人) 
静かな住宅街、ハケの道を経て手賀沼へと続く、高台がかつての澤のあとを囲む起伏のある土地の一角に、杉村楚人冠邸園・同記念館はあります。日本固有種で環境省レッドリストの絶滅危惧種に指定されている、身の丈を超えるほどの山椒薔薇(箱根薔薇)が正門横で来館者を迎えます。

楚人冠邸園は、谷津の地形を活かした野趣あふれる自然風なつくりになっていて、我孫子市の公園として整備された今でも、湧水を利用した池や手賀沼の眺めに配慮していた楚人冠の庭づくりが邸園のそこここに残っています。


春になると、「澤の家」前の斜面では日本水仙が香り、湧水を引いた池のほとりには芽を出した蕗の薹や梅の花を、岡の上には春蘭を見つけることができます。冬の眠りから覚めた虫を求めて小鳥たちのさえずりが聞こえ、池のほとりにカワセミがやってくるのもこの頃です。

わけても楚人冠邸の春に欠かせないのは椿です。約100本が残っていて邸園の春を色どります。「椿はくわッと開いて、色さやかなる間に、花冠ごとぼろりと落つるがよし。落椿の情趣は山櫻の思い切りよく散り行く落花の情趣に似たり」などと、楚人冠は随筆『続湖畔吟』にその魅力について書いています。数ある庭木の中で、特に椿を愛したのです。

 春を求めて、大正・昭和の時代を今に伝える邸宅と楚人冠邸園を見に出かけてみませんか。「嫁取りに行くような楽しさ」と言って椿を集めた楚人冠の心を感じられるかもしれません。
会報49号(2012年5月発行)に、「我孫子のちいさな散歩」として、杉村楚人冠記念館について少しふれています。
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 「我孫子北近隣センタ−だより」が景観特集
我孫子北まちづくり協議会発行の第20号(3月発行)は、早春にふさわしく"あびこ北の花と緑のまちづくり"特集を組んだ。当会が全面的に協力し、ストリートガーデン、オープンガーデン情報と写真を提供した。A4版フルカラーで、早速まちに出てみたくなる内容である。
  第12回 市民観桜会 我孫子市市制45周年記念事業
社団法人我孫子ゴルフ倶楽部のご厚意で、今年も見事な桜を楽しめます
日時    3月30日(月)10時〜16時(入場は15時まで)(雨天中止)
会場    我孫子ゴルフ倶楽部13番16番とその周辺
入口    五本松公園向い側の特設入り口から入場してください。
               クラブハウス側の正面入り口からは入れません。
駐車場   五本松運動広場駐車場(手賀沼ふれあいライン沿い)を利用してください。
申込み   事前申込みは無用です。
会費    100円 小学生以下無料
問合せ   我孫子の景観を育てる会 ?090-6034-9149
主催        我孫子の景観を育てる会  
後援        我孫子市      協力:我孫子ゴルフ倶楽部
※場内へのペット、飲食物の持ち込み、喫煙、球技はできません。
※運動靴、ウォーキングシューズを着用してください。
編 集 後 記 
今号は<春>に相応しく「桜八景」を始め、花にまつわる記事が満載です。啓蟄を過ぎても春らしい温かさが感じられない日々ですが、奥山さんの子だぬきの話や、「庭園の四季」の深山さんと武田さんの寄稿文で、心に東風(こち)が吹いてきた思いです。(秋田桂)

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