オオバン通りに街路樹を(オオバン通り緑化プロジェクト)   吉澤 淳一(会員)
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【プロジェクトチームの活躍】

平成25年、前述の「オオバン通り緑化構想」の市への提出を見て、オオバン通り緑化推進プロジェクトが、高野瀬さんをリーダーとして立ち上がった。15名のメンバーが名を連ねた。オオバン通りはもとより工事中の手賀沼公園・久寺家線を何回も視察し会合を重ね、ある時は歩道の幅員をメジャーで測ったりもした(写真)。私の手元にある最後の会議録が第7回となっているので、実際はそれ以上の回数であろう。独自のアンケート調査も実施した。
歩道の幅員を計る会員

【我孫子市景観審議会の役割】
平成25年の景観審議会に我孫子の景観を育てる会の活動紹介をするためにゲスト出席した。この時は高野瀬さんが傍聴されていた。オオバン通りの緑化が議題になっていたからである。

オオバン通り、公園坂通り、計画中の手賀沼公園・久寺家線、この3つの街路を結ぶトライアングルが、我孫子の表玄関として重要な役割を持つのだと、当時の都市部長が説いていた。オオバン通りの緑化が俎上に乗ったと実感した。

平成26年に、審議会の会長に就任した。オオバン通りの緑化修景が審議対象の一つになるのならばと、お請けした。審議会は、市民、学識経験者、各種団体の代表者、関係行政機関の職員で構成され、都市計画課が主管であった。特筆すべきは、オオバン通り(国道356号線)を管轄する千葉県柏土木事務所の次長が委員になっていることである。傍聴会に参加した時の次長はオオバン通りの緑化には否定的なご意見を持っていたが、私の会長就任と共に交代した次長は前向きなご意見をお持ちだった。前述の【バーチャルリアルティの写真で事態が動いた】にある通りである。私の会長としての任期は今年の5月までである。任期中に事態が動くことを期待している。

【手賀沼公園・久寺家線の開通がオオバン通りの条件に】
平成26年に柏土木事務所の回答が得られたのに、何故着手できないのかの理由がわかった。

緑化事業はこの地区の区画整理事業が全て終了しないと手がつけられない。オオバン通りの区画整理は終了したが、もう一つの手賀沼公園・久寺家線が未開通なので、エリア全体の区画整理が終わっていない。区画整理が完全に終わらなければ具体的な検討に着手できないということが分かった。

このような情報は、景観推進室との勉強会のなかで共有できたのである。ネックになっている手賀沼公園・久寺家線の進捗状況と今後の見込みについて、プロジェクト全体の意見交換の中で明らかにしていった。これは画期的なことであった。こういうテーマは、ともすると市と市民団体が対立関係になっていくのだが、高野瀬さんのソフトな運営で、前向きな情報共有と意見交換の場が醸成されていったのである。勉強会は平成27・28年に3回実施した。

【アンケート調査を実施】
市は、平成30年沿線地権者に対してアンケート調査を実施した。道の印象は「オオバン通りは広くて安心して歩けるが、殺風景である。人通りは少なく、夏は暑い。」が多数回答なので街路樹賛成かと思いきや、「反対35%、条件付き賛成17%、賛成20%」。条件付き賛成の条件は無理難題でこれは反対と一緒、従って反対が52%に上っていることが分かった。この結果を景観審議会に出したところ、委員から道路は沿線地権者だけのものではない、通行人の声も聴くべきとの意見が出て、令和元年にそれを実施した。

その結果を記してみる。道の印象は「広くて安心、夏は暑い」と前回とほぼ同様であった。「賛成53%、反対42%」で通行人は賛成が多かった。但し、その通行人にこの沿道に住んでいるとしたらどうかと問うと、「落ち葉の清掃、視界、鳥の糞、日当たり等の理由から沿道地権者と同様のネガティブな反応がある。

【我孫子市の見解】
上記2回のアンケート調査の結果から、市としては2つの留意点が出された。「街路樹管理の徹底と歩行者の安全確保」である。

オオバン通り沿道への街路樹の植樹方針としては、
オオバン通りを含む我孫子駅周辺は「景観形成推進ゾーン」に位置付けられており、「手賀沼公園・久寺家線」(既にヤマボウシを植樹済み)とのつながりを持たせる。オオバン通りは商店や駐車場が多く、樹間の間隔が空いても連続性が感じられる樹種を植え、潤いのある街路景観を創出する。
剪定、落ち葉清掃、害虫対策、鳥害対策等、原則として現行の街路樹管理を行う。
歩行者の安全を確保する。歩道幅員は3.5メートルを超える箇所は少なく、高木は植えられない。
候補樹種は、維持管理、歩道幅員の確保、鳥害対策の観点から中木のハナミズキとしている。

景観推進室では、令和2年3月に我孫子駅入り口交差点付近にハナミズキ紅白2本を植樹した(写真)。今後数年は生育状況を観察しながら街路樹の良さの浸透をはかり、沿道住民、商店、通行人の反応を見ながら徐々に植樹箇所を増やしていくことを考えている。
後方 白、前方 ビンク

【現状と今後の展開】
 区画整理事業は昨年2月に実質上完了している。念願である「手賀沼公園・久寺家線」は、最後の土地買収が令和2年4月に完了し、いよいよ両端の交差点の工事が始まる。
  特に、手賀沼公園前の公園坂通りとの交差点付近は、設計を含めて難題と聞いているが、令和4年4月の供用開始を目指して整備を進めていく。

オオバン通りに話を戻すと、何しろ、既存の道路に後から街路樹を植えるということは千葉県では前例が無いこと(千葉県柏土木事務所談)のである。だが、県も市も私たちも、その大きな壁を乗り越えてきたのである。私たちの悲願である「オオバン通りに街路樹を」は、まだ先のこととはいえ現実味が出てきた。高野瀬さんが小さな一歩を踏み出してから実に19年かかっている。会の歴史と共に歩んできたのである。

令和元年に鬼籍に入られた高野瀬さんにやっと現状報告が出来る段階なったことは、プロジ ェクトチーム員の弛まない努力の結晶である。
植樹を見届けた会員と市職員
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