我孫子の景観を育てる会 | ![]() 創刊 2002.3.29 |
第129号 2025.9.20発行 発行人 中塚和枝 我孫子市緑2-1-8 Tel 04-7182-7272 編集人 大久保慎吾 |
![]() 建築家・工学博士 野口 修(会員) |
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5-1.福岡市/大博通りのヤシの木 先日、当会の方々と会食した際、景観基礎研究2(第112〜114号)は、「もっと書けたのではないか?」との御指摘を頂いた。街路樹と景観、都市デザインの関係をテーマとした同論では、まず街路樹の起源を探り、日本における『近代街路樹発祥地』と称する横浜市の馬車道通りを訪ね、そこから同市のMM21地区、仙台市、京都市、東京の神宮外苑で起こっていることを取り上げ、景観教育の大切さと「手賀沼のヌマベ」について論じた。そして、最後に東京駅周辺を街歩きし、都市緑化の現況と今後の展望を述べた。 この"まち歩き"ではまず、都心に対する行政の整備方針として、建築の高層化で役割が縮小した街路樹より、直接日差しを受けるビルの屋上や壁面の緑化に力を入れ始めている現況を示した。また、街路樹が低木化していることも合わせて、未来の「街路景観」は行政主体の街路樹より、民間が主体となる敷地内緑化や建物の屋上緑化、壁面緑化の在り方が創ることになるとまとめた。 一通り書いた気になっていたが、東京圏以外の現況も伝えていたのか気になって、地方都市の街路樹や緑化について考えてみた。まずは最近、通い始めた九州の福岡市について書いてみたい。福岡市の都市計画は那珂川を挟んで、福岡城の城下町として栄えた西の福岡と、博多港を中心に商人町として栄えた東の博多が対峙する構図が原型となっている。1876(明治9年)に統合されて最終的には福岡市になった。福岡市は、九州唯一の100万都市で、現在の人口は約166万人(2025年)となっている。福岡空港と博多駅が地下鉄で約6分の所要時間で結ばれ、ほとんどストレス無く行き来できる。
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通い始めなので、まずは、博多駅前の街路、大博(たいはく)通りについて調べてみた。すると、博多駅と博多港を結ぶ大博通りのほぼ中間地点より海側の中央分離帯に"ヤシの木"が植えられていることを知った。このヤシの木、樹種としては、ワシントニアパームということだ。ざっと調べたところでは、何時、どのような目的で植えられたか不明という。日本にヤシの木が持ち込まれたのは、鎖国下に海外との交易を続けていた長崎が最初という説がある。グラバー園や浦上天主堂などの庭にもそれらしい木が植わっているが、詳細は不明だ。
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