■P2からの続き


  明治神宮外苑のイチョウ並木を訪ねた。かつては大きくなりやすい木が良いとされた街路樹も、最近では維持管理費が少なくてすむ樹種に植え替えたり、緑量の調整を行っていることを考えると、都内の貴重な景観資源だ。この神宮外苑で大規模な再開発事業が発表され、見直し論も出ている。計画は、神宮球場(大正15年建設)と秩父宮ラグビー場(昭和22年建設)の老朽化にともなう建て替え工事を根拠としながら、現実にはオフィス・宿泊・商業施設が全体の半分以上を占めている。
  加えて施設の拡大による大幅な配置変更を要することから、現在の樹木を971本伐採して1000本の若木に植え替えることや、イチョウ並木への影響が表面化して問題となった。その後、伐採本数が556本に削減されて認可を受け、現在は着工を待つばかりだ。

  子どもを連れて神宮外苑の自転車教室に通った筆者としては、国立競技場建設とコロナで休止したレンタルサイクルと自転車教室が元通り復活するのか、商業一辺倒で近隣住民から離れた存在になってしまうのか、気になると同時に郷愁を感じる景観が伐採本数の多寡で変わって行く現実に違和感を感じる。(左の写真4参照)

  早朝の京都で清水寺を散策した際、回遊路の庭木を剪定しつつ、落葉を掃除している職人の一団に遭遇した。(写真5)
  京都中の名刹ほぼ全てで毎朝、こうした作業が繰り返されているのだろう。そして、子供から大人まで、京都で暮らすほとんどの人がこの様子を日常的に見ているとすれば・・・。
  次回、景観教育の在り方と都市緑化についてもう少し考えたい。

(114号へ続く)
新シリーズ エリアの街路樹  -1- (布佐・新木エリア)
                              やすらぎの道と街路樹  小見川 達雄(会員)
この道は、布佐駅南口から布佐平和台と南新木のまちなみを進み、新木駅前を通り手賀沼ふれあいラインまでの道で、江戸後期手賀沼(下沼)干拓で築いた浅間堤(千間堤)に続いていく。緩やかなカーブ、わずかな高低差があり、通り添いの家々の庭木や季節の花や緑の生け垣は見事に手入れされ、街路樹と相まって散歩をする人々の心に潤いを与えていて魅力的である。両住宅地は、開発段階から街路樹が植栽されて整然とした豊かな住環境を保っている。

布佐駅からはトウカエデ(写真下)の街路樹が続き、春は緑を、秋は黄色から朱色への紅葉を、夏には日陰を提供してくれ、更に枝も伸び過ぎず落葉は多くなく、住民の道路清掃の負担感が少ないのが良い。
布佐平和台の住宅は、昭和52年の入居時より、建築協定や緑化協定を結び、まちなみの環境の維持に努めていて、新築や改築時は確認申請を市役所へ提出と同時に道路沿いの緑化計画を自治会が確認するようになっている。平成9年「■第1回我孫子市景観奨励賞」、平成18年国土交通省の「住まいのまちなみ賞」など受賞している。

南新木団地に入るとホウキを逆さまにしたような樹形のムサシノケヤキ(写真下)に変わる。両地区とも歩きたくなる道である。



第29回 日立庭園公開 開催報告         12月3日(土)        飯田 俊二(会員)
庭園公開は3年ぶり、冷え込みの厳しい朝を迎えましたが、時折晴れ間がのぞく天候に恵まれ、無事開催となりました。
コロナ対策は万全を期して実施。また、従来実施してきたお茶の接待、栞プレゼント、「白樺派のカレー」の提供は中止しましたが、1218人の来場者をお迎えすることができました。

3年前の1451人には及びませんでしたが、今回の特徴として市外からの来場者が、従来の約45%から24%と低かったのですが、比較的若い方が多く来られたように思います。クロードグラスで鏡の中の景観も楽しんでいただき、「我孫子コカリナサークル"あびこ"」の美しい音色が庭園内に流れ、安らぎを与えてくれました。

今回、星野市長と青木副市長が(株)日立アカデミーの迫田社長と共に園内を巡られました。素晴らしい庭園景観を公開していただきました(株)日立アカデミー様に深く感謝申し上げます。我孫子における貴重な景観資産であるこの庭園を守り慈しんでいきたいと思います。

大勢のご来場者、ボランティアの皆様、コカリナ演奏の皆様、資材貸与・運搬の我孫子市、商工会、社会福祉協議会に厚くお礼申し上げます。
運営は(株)日立アカデミー、当会会員、三樹会会員、旧村川別荘市民ガイド、ボランティアの約36名で行いました。皆様ありがとうございました。

日立庭園公開でのコカリナ演奏
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