シリーズ 庭園の四季 −7−
                旧村川別荘庭園の秋                      佐久間 俊行(旧村川別荘市民ガイド) 
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、9月のはじめはまだ気温が高く、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミの声がにぎやかに響いてきます。また裏庭では、裸出した肌にヒトスジシマカが吸血に集まります。ジョロウグモも体はまだ小さいけれど、樹間に網を張ります。

庭に訪れる昆虫はホタルガ、黄色いキチョウ、黒っぽいアゲハチョウ、ノシメトンボ、スズメバチ、アカボシゴマダラ(蝶)などがいます。

野草ではハエドクソウ、ツユクサ、ミズヒキ、ヘクソカズラの花が見られ、彼岸の頃には季節を忘れずにヒガンバナやシロバナマンジュシャゲが開花します。またクスノキ、ヒサカキ、アオキ、ナンテン、ツバキ、ムラサキシキブなどの果実が目につくようになります。木立からは、カラスやキジバトの声も響いてきます。

10月に入ると、ヤブラン、イヌタデ、ホトトギス、コナスビの花や、ヌカキビ、チヂミザサ、ナキリスゲなど、イネ科やカヤツリグサ科も花穂が目につくようになります。

樹木もサザンカやチャの木が開花します。10月の末には果実が色づき、ナンテン(赤)、センリョウ(赤)、ムラサキシキブ(紫)、ヤブコウジ(赤)、コムラサキ(紫)が庭を飾ります。

樹木の間に網を張るジョロウグモの体も大きくなり、産卵に備えます。

夏から引き続き、アオバハゴロモや、ホタルガが姿を見せ、温暖化に伴い、近年我孫子でも見かけるようになったナガサキアゲハが庭を訪れます。散策路を歩くと、ヤモリやカナヘビなどの爬虫類に出合うことがあります。

11月に入ると草木の果実が稔り、サザンカ、チャ、ヤツデ、ツワブキ、スイセン、ツバキなどの花が庭を飾ります。この頃になると落葉樹の葉が色づき始め、ハゼノキ(赤)、イロハモミジ(赤)、ツタ(赤)、ヌルデ(赤)、アカメガシワ(黄)、メグスリノキ(赤)、イチョウ(黄)、サンショウ(黄)、エゴノキ(黄)、エノキ(黄)、クヌギ(褐)、ヤマグワ(黄)などの彩(いろどり)と、常緑樹の緑が織りなす錦が楽しめます。しかし温暖化のため、紅葉、黄葉の最盛期は12月の初頭にずれ込みます。
多くの人たちが旧村川庭園を訪れ、様々な動植物との触れあいを通して、四季の移ろいを楽しんでいただけるなら幸いです。

8月の終わりに、編集グループが旧村川別荘を訪れ、佐久間さんに庭園をガイドしていただきました。百人一首の歌、芭蕉の句の逸話や、クイズをまじえた説明で、苦手だった木や花のいくつかを覚えることができました。そして、ガイドを通して、佐久間さんが庭内の一木一草や鳥や虫たちの全てを慈しんでいる様が見てとれました。
※下の写真はガイドをする佐久間さん。
この秋は、ここ旧村川別荘がお薦めです。


※旧村川別荘庭園の四季シリーズは今回が最後です。
「夏」は■本紙67号、「冬」は■71号、「春」は■72号に掲載しています。
◆"旧村川別荘 竹灯籠の夕べ"
  大正時代の趣きが残る建物が美しい旧村川別荘(我孫子市寿2-27-9)で毎年恒例の「竹灯籠の夕べ」が行われます。庭内に自生する竹から作った600本の竹灯籠を灯し、幻想的な風景が広がります。

●10月7日(金)・8日(土) 午後5時から7時まで
※7日は蓄音機レコードコンサート、8日はコカリナ演奏があります。
主催:教育委員会 文化スポーツ課
旧村川別荘市民ガイド 募集!
教育委員会では、昨年に引き続きメンバーを募集しています。来荘者向けに旧村川別荘の魅力を案内する無償ボランティアです。

活動日:半日単位で月2〜3回  応募期間:10月31日(月)まで
詳しくは、教育委員会 文化スポーツ課 04-7185-1583まで。

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